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2022 年度 実施状況報告書

ストレス応答性の母乳中マイクロRNAの変化が乳児の器官発達へ及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K11810
研究機関北海道科学大学

研究代表者

千葉 健史  北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (80552926)

研究分担者 前田 智司  日本薬科大学, 薬学部, 教授 (60303294)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード母乳 / マイクロRNA / miR-148a / miR-125b
研究実績の概要

母乳中には、数百種類のmicroRNAs(miRNAs)が存在していることが分かっている。母乳由来のmiRNAsのうち、hsa-miR-148a-3p(以下、miR-148a)およびhsa-miR-125b-5p(以下、miR-125b)は、ヒト母乳中に多量に存在し、乳児の消化管発達に寄与していることが示唆されている。今年度は、母乳由来のmiR-148aおよびmiR-125b発現量の授乳期内変動を調べるとともに、日本で販売され、かつ汎用されている人工乳製品中のmiR-148aおよびmiR-125b発現量を評価した。
手稲渓仁会病院で出産した健康授乳婦を被験者とし、出産後4日目あるいは5日目の母乳(以下、初乳)と、1ヶ月目の母乳(以下、成乳)を採取した。また、日本で人工乳製品を製造販売している主要6社の製品(各1社1製品)を用いた。母乳中のmiR-148aおよびmiR-125bの発現量の評価には、リアルタイムPCR法を用いた。
16名の被験者から採取した母乳を解析した結果、成乳中のmiR-148aの平均発現量は、初乳に比べて有意に低かった。また、全被験者において、成乳中のmiR-148a発現量は、初乳に比べて低かった。なお、miR-125bに関しても、miR-148aと同様の結果が得られた。一方、人工乳製品と成乳に含まれるmiR-148aの発現量を比較したところ、6つの人工乳製品中のmiR-148a発現量は、いずれも成乳の1/500未満であった。また、6つの人工乳製品中のmiR-125bの発現量は、いずれも成乳の1/100未満であった。
本研究により、ヒト母乳中のmiR-148aおよびmiR-125bの発現量は、授乳期が進むにつれて減少することが示唆された。また、これら2つのmiRNAsは、日本で汎用されている人工乳製品の中には、ほとんど含まれていないことも明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の計画では、母乳由来のmiR-148aおよびmiR-125b発現量の定量方法の確立、並びに授乳期内変動を評価することを目標としており、これらの目標は概ね達成できたと考えている。

今後の研究の推進方策

授乳期のストレスは、母乳タンパク質や脂質などの母乳成分を変化させることが分かっている。次年度以降は、母乳由来のmiR-148aおよびmiR-125b発現量に対するストレスの影響を評価するとともに、ストレスによって生じたこれらのmiRNAsの変化が、乳児の消化管機能にどのような影響をもたらすのかを評価していく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Suppression of milk-derived miR-148a caused by stress plays a role in the decrease in intestinal ZO-1 expression in infants2022

    • 著者名/発表者名
      Chiba Takeshi、Takaguri Akira、Kooka Aya、Kowatari Kiyoko、Yoshizawa Megumi、Fukushi Yoshiyuki、Hongo Fuminori、Sato Hideki、Fujisawa Miho、Wada Shinichiro、Maeda Tomoji
    • 雑誌名

      Clinical Nutrition

      巻: 41 ページ: 2691~2698

    • DOI

      10.1016/j.clnu.2022.10.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 帯状疱疹に罹患する授乳婦に対する薬剤選択に関する調査研究 ?乳児(新生児)への安全性の観点から?2022

    • 著者名/発表者名
      千葉 健史、三浦 果奈、千葉 直子、前田 智司
    • 雑誌名

      薬局薬学

      巻: 14 ページ: 154~160

    • DOI

      10.32160/yakkyoku.cr.2022-0011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 乳児への安全性情報に基づく授乳婦に対する片頭痛治療薬の投与選択に関する文献的調査2022

    • 著者名/発表者名
      千葉直子、林愛歌、三浦果奈、千葉健史
    • 雑誌名

      日本地域薬局薬学会誌

      巻: 10 ページ: 67~81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 母乳産生制御に関する話題 第3回 ストレスと母乳成分ーノルエピネフリンによる母乳タンパク質発現の制御機構ー2022

    • 著者名/発表者名
      千葉健史
    • 雑誌名

      一般社団法人北海道薬剤師会 道薬誌

      巻: 39巻 7月号 ページ: 4~8

  • [雑誌論文] 母乳産生制御に関する話題 第4回 母乳中に含まれるマイクロRNAに関する知見2022

    • 著者名/発表者名
      千葉健史
    • 雑誌名

      一般社団法人北海道薬剤師会 道薬誌

      巻: 39巻 8月号 ページ: 9~13

  • [図書] 図解 医薬品情報学2023

    • 著者名/発表者名
      折井 孝男(共著、担当範囲:第9章-7 妊婦・授乳婦の薬物治療と医薬品情報、第10章-演習10 相対的乳児薬物投与量(RID)に算出に基づく乳児へのリスク評価)
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      南山堂
    • ISBN
      9784525781651

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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