研究課題/領域番号 |
22K11810
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
千葉 健史 順天堂大学, 医学部, 課長補佐 (80552926)
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研究分担者 |
前田 智司 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (60303294)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 母乳 / マイクロRNA / miRNA / ストレス |
研究実績の概要 |
母乳由来のマイクロRNAのうち、hsa-miR-148a-3p(以下、miR-148a)は、ヒト母乳中に多量に存在し、乳児の消化管発達に寄与していることが示唆されている。一方、授乳期のストレスは、母乳タンパク質や脂質などの母乳成分を変化させることが知られているが、ストレスが母乳由来miR-148a発現量にどのような影響を与えるのかについては、明らかではない。今年度は、授乳期のストレスと母乳中miR-148a発現量との関連性を評価した。 手稲渓仁会病院で出産した20-40歳の健康授乳婦を被験者とし、出産後30日目に母乳採取とストレス評価を行った。母乳中のmiR-148a発現量の評価にはリアルタイムPCR法を用い、ストレス評価にはProfile of Mood State2-A短縮版(POMS2)を用いた。患者によるPOMS2質問票への記入は、看護師立ち会いの下で行われた。なお、種々気分評価の時間枠は、「今日を含めて過去1週間」とした。 総合的気分状態(Total Mood Disturbance、TMD)スコアと母乳中miR-148a発現量との間に、有意な負の相関が認められた。また、TMDスコアの下位尺度である5つの負の感情(怒り-敵意(AH)、混乱-当惑(CB)、抑うつ-落ち込み(DD)、疲労-無気力(FI)、緊張-不安(TA))の各スコアは、いずれもmiR-148a発現量と有意な負の相関を示した。一方、 TDMスコアの下位尺度であり、かつ正の感情を示す活気-活力(VA)スコアや、独立して算出された正の感情を示す友好(F)スコアは、いずれも母乳中miR-148a発現量と有意な正の相関を示した。 本研究の結果から、授乳期のストレスは、母乳中のmiR-148a発現量を低下させる可能性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の計画では、母乳由来miR-148a発現量と、ストレスとの関連性を評価することを目標としており、この目標は概ね達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ストレスによって生じた母乳中miR-148a発現量の低下が、乳児の器官発達にどのような影響を与えるのかについて、検討を行っていく予定である。
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