研究課題/領域番号 |
22K11815
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
志茂 聡 健康科学大学, 健康科学部, 教授 (80734607)
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研究分担者 |
村松 憲 杏林大学, 保健学部, 准教授 (00531485)
大野 伸彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10432155)
小田 賢幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20569090)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 糖尿病性自律神経障害 / 消化管運動障害 / 筋層間神経叢 / SBF-SEM / 3次元再構築 |
研究実績の概要 |
糖尿病では全身の代謝異常とともに、自律神経障害に起因する下痢や便秘などの重篤な消化管運動障害を引き起こすことが知られている。これらの発症機序として、高血糖やインスリン抵抗性にともなう酸化ストレス等により、小腸筋層間神経叢や粘膜下神経叢に障害が引き起こされていることが示唆されているが、その病態や成因については未だ不明な点が多い。我々は、これまで連続ブロック表面走査型電子顕微鏡 (SBF-SEM)を用いた解析により、前糖尿病期において腸管筋層間神経叢の軸索Varicosityの減少、ミトコンドリア体積の増加を明らかにした。本年度は、ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病モデルマウスを用いて、小腸筋層間神経叢の3次元的再構築を行った。 実験動物(C57BL/6Jマウス、雄)にSTZ投与(60mg/kg/day、5日間投与)し、20週齢まで飼育された糖尿病モデルマウス(以下STZ群)を用いた。対照群として、Vehicle投与した後、20週齢まで飼育されたマウス(以下コントロール群)を用いた。麻酔下で小腸を採取し、OTO法によるブロック染色を行い樹脂包埋した。その後、SBF-SEMを用いて連続断層像を取得し、小腸筋層間神経叢内の軸索Varicosity数、表面積、体積およびグリア細胞の形態を解析した。 STZ群では、小腸筋層間神経叢内で断片化している軸索を著明に認め、コントロール群と比較してVaricosity数の減少を認めた。一方、Varicosity形態では、STZ群において表面積および体積ともにコントロール群と比較して有意な増加を認めた。さらに、小腸筋層間神経叢内のグリア細胞の形態比較では、STZ群において核の扁平化を認めた。本結果から、糖尿病期では小腸筋層間神経叢内の軸索の断片化とともに軸索Varicosityの減少を引き起こし、自律神経障害を惹起している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に計画されていた1型糖尿病モデルマウス作製は、ほぼ予定通りに作製することができた。一方、連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)での撮像および解析は、撮像取得および撮像条件の検討とともにセグメンテーションに想定以上に時間がかかったため、計画されていた予定から若干遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度では、実験実施計画に沿って(1)神経伝達物質マーカー(ChAT、VIP、nNOS、Substance P、VIP、CGRP)による免疫電顕法もしくは、連続連続切片での免疫組織学的解析により各神経を同定する。さらに、(2)局在情報をSBF-SEMで取得した3次元微細構造と対応させることにより、両群の交感神経と副交感神経の軸索側枝、シナプス小胞、オルガネラの微細構造を統計学的解析により比較する。今後は解析データを増やしていくとともに、遅延しているセグメンテーション等の画像解析方法の効率化を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はセグメンテーションに想定以上に時間がかかったため、計画していたSGLT阻害薬投与モデルマウスを用いた実験およびを実施できなかった。今後の使用計画として、上記実験の必要物品の購入に充てる予定である。
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