研究課題/領域番号 |
22K11817
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
小川 亜紀 甲南女子大学, 医療栄養学部, 助教 (80612308)
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研究分担者 |
木戸 康博 甲南女子大学, 医療栄養学部, 教授 (50195319)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 耐容上限量 / たんぱく質 / 13C標識アミノ酸法 / ラット / 日本人の食事摂取基準 |
研究実績の概要 |
近年ではアミノ酸やプロテインを主としたサプリメントが普及し、筋肉量を増やしたいと考える人が多量に摂取する事例が多い。しかしながらタンパク質の過剰摂取によるタンパク質代謝の変化を検討した報告は少なく、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、タンパク質の耐容上限量は設定されていない。 13C標識アミノ酸法は、炭素の安定同位体13Cで標識したアミノ酸を経口摂取して、呼気に排出される13CO2量を測定して体内のアミノ酸代謝をみる方法である。13C標識アミノ酸法の一つである直接アミノ酸酸化(direct amino acid oxidation; DAAO)法を用いて、タンパク質代謝上限量の推定法を検討することを目的とした。 6週齢のSD系雄性ラットを、12時間明暗サイクル(明期 20:00~08:00)、温度22 ± 2℃で飼育した。20%カゼイン食を自由摂食とした状態で、1週間予備飼育した。7~8週齢のラットを用いてDAAO法を実施した。DAAO法の実験日には、実験食として40%、50%、55%、60%または70%カゼイン食を用いた。 一定量の空気を継続的に送り込んだ状態のチャンバーに、実験前夜よりラットを入れ、一晩、絶食させた。当日は9時より1時間毎に平均1日摂食量の1/12量の実験食を計10回自由摂食させた。DAAO法に用いた実験食には、標識アミノ酸としてL-[1-13C]フェニルアラニンを各実験食中のカゼインに含まれるフェニルアラニンの10%量を混餌した。9時から19時まで1時間毎にチャンバー内の気体を呼気サンプルとして呼気採取バッグに採取し、赤外分光分析装置により呼気中の13CO2量を測定した。現在、結果の解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、ほぼ計画通りに動物実験を実施できた。結果を解析中であるが、ラットにおいてDAAO法によりタンパク質代謝上限量を推定するための方法を確立できる可能性を見出せた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の動物実験によるDAAO法の結果を解析し考察した上で学会発表等を目指してまとめていく。さらに、実験条件を見直し、n数を増やして再度、動物実験を行い、データを確実なものにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験は実施できたが、実験条件を検討するための予備実験的なものと位置付けて行ったため、使用する動物(ラット)のn数は少なかった。実験に係る消耗品(飼料、試薬、機器の消耗品)のための直接経費の使用額が少なく抑えられた状況である。 もともと高額である13C標識アミノ酸の価格が以前より高騰しており、次年度以降の動物実験に係る消耗品の購入のため、2022年度の未使用額を充当する。
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