研究課題/領域番号 |
22K11827
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特任准教授 (50311296)
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研究分担者 |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 分泌性小タンパク質 / インスリン / 脂肪蓄積 |
研究実績の概要 |
我々は、脳の視床下部領域に特異的に発現しており、80アミノ酸残基の分泌性小タンパク質neurosecretory protein GL(NPGLと命名)をコードしている新規遺伝子を発見している。また、NPGMと名付けたパラログ因子の遺伝子も見出している。ラットやマウスを用いた解析により、これら小タンパク質は脂肪蓄積を促進させることが分かった。NPGL・NPGMの作用機序としてインスリン分泌を介した脂肪合成・蓄積作用が考えられる。そこで、本研究では、我々らが発見した2つの小タンパク質(NPGL及びNPGM)の作用機序の根幹にインスリン分泌作用があると予測し、その神経ネットワークと膵臓への作用経路を解明することを目的としている。 昨年度は、NPGL前駆体遺伝子をアデノ随伴ウイルスベクターを用いて視床下部領域に過剰発現し、通常食と中程度脂肪中程度ショ糖食の固形食を給餌し、約2ヶ月間の表現型の解析を行った。その結果、摂食量と体重が増加し、白色脂肪組織重量も増加した。この時、血糖値の上昇は認められなかったが、通常食では血中インスリン濃度が増加傾向を示し、中程度脂肪中程度ショ糖食では血中インスリン濃度が顕著に増加した。次に、中程度脂肪中程度ショ糖食と中程度脂肪中程度果糖食の粉末食を給餌し、上記と同様な解析を行った。その結果、どちらの給餌条件下でも摂食量は増加しなかったが、体重と白色脂肪重量が増加した。血糖値は上昇しなかったが、中程度脂肪中程度ショ糖食給餌下で血中インスリン量が有意に増加した。これらの結果から、固形や粉末といった餌の硬度からくる咀嚼量と摂食量への違いがあることが示唆された。さらに、摂食量に変化がなくともNPGLはインスリン分泌量を増やす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
NPGLの脳室内単回投与にるインスリン分泌の上昇が認められるかを解析する。さらに、NPGL/NPGL産生細胞特異的な活性化、不活性化を生じさせ、インスリン分泌の変動を解析する。
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