研究課題
申請者は、B細胞活性化因子(B cell activating factor: BAFF)がインスリン抵抗性を誘導するアディポカインであることを明らかにし、メタボリック症候群の病態との関連について報告してきた。また、臨床例において非アルコール性脂肪性肝疾患の発症・進展に関わることも示した。本研究ではマウスモデルを用いて、免疫関連分子であるBAFFの肥満に伴う体重増加の制御について、とくに脂肪組織・脂肪細胞に焦点を当てて解析することを予定している。本年度は以下のことを明らかにした。1)マウス白色脂肪細胞や培養脂肪細胞にBAFFおよびBAFF受容体(BAFF-R, TACI, BCMA)が発現していることを確認した。2) 培養脂肪細胞をrecombinant BAFF存在下に培養するとNF-kB活性化を誘導することを明らかにした。3) C57BL/6マウス(野生型)、BAFF-KOマウス、BAFF-R-KOマウスを高脂肪食(HFD)で飼育することで肥満マウスモデルを確立した。また、他の食餌誘導性肥満マウスモデルも作成中である。4) BAFF-R-KOマウスをHFDで飼育すると野生型に比し体重が減少するが、BAFF-KOマウスでは体重が増加することを確認した。現在、これらのマウスモデルにおける脂肪組織の代謝機構や機序の解析を行っているところであり、来年度以降の研究に向けて基礎データを集積している。
2: おおむね順調に進展している
本年度行う予定であった解析は概ね順調に経過している。
C57BL/6マウス(野生型)、BAFF-KOマウス、BAFF-R-KOマウスを用いた肥満マウスモデルを用いて脂肪組織・脂肪細胞の脂質代謝についてin vitoroおよびin vivoでの詳細な解析を進めるとともに、褐色脂肪細胞の熱産生などの機能活性についても検討を行っていく予定としている。
研究計画の一部が来年度に持ち越しとなったために、次年度使用額が生じることとなった。次年度に行う遺伝子解析に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 ページ: 2509
10.3390/ijms24032509