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2022 年度 実施状況報告書

細胞外脂肪酸によるがん細胞のグルタミン代謝制御機構の解明と健康科学への発展

研究課題

研究課題/領域番号 22K11868
研究機関近畿大学

研究代表者

福嶋 伸之  近畿大学, 理工学部, 教授 (10254161)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードオレイン酸 / 卵巣がん細胞 / グルタミン代謝 / ペントースリン酸回路 / CD36
研究実績の概要

脂肪酸は細胞膜の脂質成分やエネルギー産生の役割の他に、近年シグナル伝達物質としての働きが明らかにされている。脂肪酸の一種であるオレイン酸(OA)ははがん細胞の種類により細胞死の促進や逆に細胞の生存を促進することが報告されているが、その原因は明らかではない。
本研究では、OAのRMG-1卵巣がん細胞の生存や増殖に対する作用を調べた。RMG-1 細胞は無血清培養条件下では細胞死が生じるのに対し、OAを加えることで添加後48 時間まで一過性の細胞増殖が見られた。実際にOA は細胞周期のS 期細胞およびM 期細胞の割合を増加させたことから、OA は細胞周期を駆動させることが示された。この作用には脂肪酸トランスポーターのCD36 が関与していることが示唆された。また、OAの作用は細胞外グルコースおよびグルタミン濃度を0mMにしたとき、消失した。OA は解糖系ではなくむしろペントースリン酸回路(PPP)の亢進を引き起こすことがわかった。一方、OA はグルタミンの取り込みを促進し、細胞内グルタミン酸量の増加を引き起こした。これらの細胞内物質代謝変動はOA 添加後の比較的早い時間に見られる反応であり、細胞増殖に必要な核酸基質やアミノ酸の合成につながる。これらがどのように細胞増殖、細胞周期と連動しているかを明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

CD36のノックアウト細胞の作成に遅れが出ている。ベクターの導入効率が低いことが原因である。
当初はグルコース代謝への影響は見られないと考えていたが、グルコース取り込み後に分岐するペントースリン酸回路が関わることが示されたため、この解析に時間を割いた。新たな発見に結びついたが、これにより当初計画の一部が先延ばしになった。

今後の研究の推進方策

新たにわかったペントースリン酸回路の関与を明らかにしていく。またグルタミン代謝と糖代謝変動はOA 添加後の比較的早い時間に見られる反応であり、細胞増殖に必要な核酸基質やアミノ酸の合成につながる。一方、比較的遅い反応である、細胞周期やDNA複製の亢進に至る経路は明らかではないため、早い反応と遅い反応がどのように連動しているかを明らかにしていく。
さらに当初予定のメタボロミクスの解析を進め、反応経路の同定に努める。

次年度使用額が生じた理由

メタボロミクス解析に至らなかったため、次年度は可能な予算の範囲内でこれに充てる。
ゲノム編集に利用するベクター、細胞内情報伝達経路の同定のための抗体の購入に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Oleic acid stimulates cell proliferation and BRD4-L-MYC-dependent glucose transporter transcription through PPARα activation in ovarian cancer cells2023

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Kado, Naoki Kusakari, Takeru Tamaki, Kaeko Murota, Toshifumi Tsujiuchi, Nobuyuki Fukushima
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 657 ページ: 24-34

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.03.051

    • 査読あり
  • [学会発表] オレイン酸はRMG-1卵巣がん細胞の物質代謝を調節し細胞増殖を促進させる2022

    • 著者名/発表者名
      玉置 彪流, 福嶋 伸之
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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