研究課題/領域番号 |
22K11870
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
藤原 範子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10368532)
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研究分担者 |
吉原 大作 兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (00567266)
崎山 晴彦 千里金蘭大学, 生活科学部, 准教授 (30508958)
江口 裕伸 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60351798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ALS / 筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / 凝集体 / アミロイド |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む神経変性疾患では、原因タンパク質のミスフォールディングや凝集・アミロイド化が発症や病態に関与すると考えられている。抗酸化酵素として働くCu/Zn-スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)の点変異や欠失変異が家族性のALSを引き起こすことが明らかになっているが、その発症機構は不明のままである。ALS変異SOD1は野生型SOD1に比べて不安定で凝集しやすい性質があるが、細胞内でのSOD1凝集体は小さくて観察しにくい欠点があった。本研究は、申請者が考案した「変異SOD1の細胞内凝集を容易に検出する発現系(proteinX-SOD1-EGFP)」を用いて「細胞内凝集に必要な最小SOD1コア配列やアミノ酸残基を決定することによって、SOD1の凝集機構を解明し、その凝集を阻害する物質を探索すること」を目的とした。 2023年度までの研究で、当該発現系を用いるとALS変異SOD1(A4VやG93A)は野生型SOD1と比べて細胞内で大きな凝集体を形成し、その凝集体の数が著しく増加することを見出した。SOD1のC末端側を順次欠損させていき、凝集体形成の有無を検討した。その結果、1-34は凝集体を形成しないが、1-35よりも長いSOD1ペプチドを含むと凝集体を形成することが明らかになった。I35を他の分枝鎖アミノ酸に置換した1-35ペプチドは凝集体を形成したが、親水性アミノ酸であるセリン(I35S)やリシン(I35K)に置換すると凝集体を形成しなかった。さらに、凝集体を形成するALS変異SOD1(A4VやG93A)にI35Sの変異を加えると、凝集体の形成は著しく低下した。以上の結果より、proteinX-SOD1-EGFPの凝集体形成に必要なN末端側の最小配列が1-35で、I35が凝集体形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。(論文投稿中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SOD1の細胞内凝集に必要なN末端側の最小配列とアミノ酸残基を特定することができたことから、本研究課題は順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内で凝集体を形成する発現系における変異SOD1やSOD1ペプチドが細胞に及ぼす影響を検討し、凝集阻害薬の開発のために、簡易で効果的なスクリーニング方法を確立していく。 また、凝集体を形成するproteinX-ALS変異SOD1-EGFPと形成しないproteinX-SOD1-EGFPをショウジョウバエモデルに発現させ、凝集体の形成がALS発症に関わるかどうかを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想していたよりも少額で済んだ物品があったため助成金に余剰分が生じた。余剰分は翌年度分として請求した助成金と合わせて効率的に使用していく。
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