研究分担者 |
玉置 應子 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (20586276)
尾崎 章子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30305429)
金野 倫子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (90282053)
栗山 健一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 部長 (00415580)
河村 葵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, リサーチフェロー (40772934)
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研究実績の概要 |
昨年に引き続き, 更年期女性における不眠の病態特性と運動効果の検証に先立ち, 身体運動を組み入れた睡眠改善プロトコルの開発に向けて実験を行った. 本研究は当学倫理委員会の承認を得て行った. 説明と書面による同意の得られた健常成人女性12名を対象に1)卵胞期(FP)非運動条件, 2) 卵胞期(FP)運動条件, 3)黄体期(LP)非運動条件, 4)黄体期(LP)運動条件の4条件、計4日間の実験をランダムクロースオーバーデザインで実施した. 被験者は、運動条件では日中に一定強度一定時間のレジスタンストレーニング(RT)を実施後,自宅で夜間睡眠脳波測定を施行した. 実験中は深部体温と共に皮膚温を同時計測し, 睡眠前後で主観的評価(気分, 眠気等)を行った. 遠位皮膚温と近位皮膚温の温度差から放熱指標であるDPGを算出した. 睡眠段階判定および周波数解析を行った.その結果、卵胞期黄体期ともに運動条件で夜間一晩のStageN3出現率が増加した. 夜間就床中を4分割しδ-powerの分布を検討した結果, FP運動条件ではδ-powerの出現が夜間徐々に減少していくのに対し, LP運動条件では睡眠後半でもδ-powerが有意に増加し同時期にDPG(放熱)が有意に促進した. 主観的評価を条件間で比較した結果、LP運動条件で考えのまとまりにくさ、目の疲れが有意に改善した。更にLP運動条件では入眠前の放熱の強さが起床時の頭のすっきり感、気分の改善と有意な正の相関、身体疲労感と有意な負の相関が認められた。またLP運動条件では、StageN3割合の増加は、目覚め感と有意な正の相関、眠気、考えのまとまりにくさと有意な負の相関がみられた。RTが体温が高く放熱が抑制されやすい黄体期でも放熱を促進し, 夜間睡眠時の徐波成分を増加させ、起床時の睡眠評価改善が期待できる可能性が示唆された。
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