研究課題/領域番号 |
22K11902
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
J Garrigue 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (80273530)
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研究分担者 |
才川 隆文 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 研究員 (00897100)
Affeldt Reynald 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (40415641)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 型推論 / 型健全性 / 操作的意味論 / プログラムの証明 / 等式理論 |
研究実績の概要 |
関数型プログラミング言語OCamlの型付中間表現であるTypedtreeを定理証明支援系Coqの内部言語であるGallinaに変換するという基本構想を定め,実装を始めた.なお,Typedtreeに型情報が付随しているもの,型推論によるものであり,独立した整合性の確認が行われていない.対して,Gallinaについて厳格な型の確認が行われており,この変換で信頼性が上がるといえる. 実装において,CoqのライブラリとしてOCamlプログラムの副作用(可変な参照型,例外処理など)を扱うモナドを定義し,OCamlのコンパイラがこのモナドを使うGallinaのコードを生成できるように拡張した.変換したプログラムが実行可能で,動作が変わらないことも確認した.代数的データ,再帰関数やループも扱えるようにし,徐々に機能を増やしている.この方法でGADTも表現可能であることも確認したが,コンパイラでは未実装である. モナドを定義する際,Coqの型定義の制限を緩和する必要があり,結果的にCoqの論理が無矛盾でなくなることを確認したが,モナドの利用方法を制限した場合についてはまだ検討中である. さらに,この変換をプログラムの証明にも使えるようにするために,上記のモナドの等式理論を定義し,プログラム証明ライブラリMonaeで使えるようにした.それを使って,参照型を使った関数の正しさの証明も行い,実用性を確認した. 上記についてTYPES 2022(フランスのナント開催),ML Workshop 2022(リュブリャーナ開催),JSSST 2022およびPPL 2023(名古屋開催)で報告している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実装に関して順調に進んでおり,次々と機能が取り込まれている. 理論に関して,型定義の制限を緩和しながらCoqの健全性が保たれる条件がまだ見付かっていないが,問題が評価戦略と関わっていることが見えてきた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き実装を拡張しながら,理論的な側面を解明していきたい. 特にCoqの健全性について,評価戦略との関連を調べていきたい. また,この変換方法をプログラムの証明に活用できるように,等式理論をさらに検証する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた物品(ノートパソコン)を別の予算で買えたので、その分の出費が少なくなった。しかし、海外旅費がかなり高くなっているので、次年度では旅費として使われる可能性が高い。
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