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2023 年度 実施状況報告書

DM最適化問題を解く実用的アルゴリズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K11917
研究機関筑波大学

研究代表者

久野 誉人  筑波大学, システム情報系, 教授 (00205113)

研究分担者 佐野 良夫  筑波大学, システム情報系, 准教授 (20650261)
吉瀬 章子  筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード数理最適化 / 非線形最適化 / 大域的最適化 / DM関数 / DC関数
研究実績の概要

増加関数の差として表すことのできる関数(DM関数)を目的関数や制約条件に含むDM最適化の特殊ケースとして,凸関数の差で表すことのできる関数(DC関数)を目的関数とするDC最適化問題を大域的に解くための確定的アルゴリズムの研究を行った.
実行可能集合を凸多面体と仮定してDC関数を最小化するDC最適化の典型例に対し,その大域的最適解を求めるための確定的アルゴリズムを4種考案した.非線形・非凸性は目的関数にしか表れないが,この比較的単純な問題にも実行可能集合の端点以外に複数の局所最適解が想定され,多極値最適化問題の中でも特に困難なクラスに分類される.
考案したアルゴリズムは,複数の半空間を使って凸多面体の近似を繰り返す外部近似アルゴリズムと,凸多面体を複数の錐に細分し,それぞれに外部近似アルゴリズムを適用する錐的アルゴリズム,凸多面体を複数の単体に細分し,それぞれにおけるDC関数の下界値計算を行う単体的アルゴリズムであり,いずれもワークステーション上で簡単な実装を行なって予備的な比較実験を実施した.さらに,DC関数の減数項が1変数の和に分離可能な問題を解くための矩形的アルゴリズムも考案,実装して他の3つのアルゴリズムとの比較実験を行い,その結果をRAMP数理最適化シンポジウムで報告した.
これら4種のアルゴリズムの比較実験では,分離可能性を利用する矩形的アルゴリズムの性能が突出して優れていたが,錐的アルゴリムも汎用性の面で今後の発展を期待できることが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

6月に食道癌に罹患していることが発覚,7月から抗癌剤投与のために一週間ほどの入院を三度繰り返したのち,9月に食道の切除・再建手術を受け,現在まで月に一度の別種の抗癌剤治療を受け続けている.そのため,授業やゼミ,会議等にはオンラインで何とか対応できても,とても研究を推し進められる状態になく,11月に開催されたRAMP数理最適化シンポジウムのために依頼された講演録を病室のベッドで執筆することのほか満足な研究ができなかった.

今後の研究の推進方策

11月のRAMP数理最適化シンポジウムでの講演の内容を論文としてまとめ,日本OR学会の機関誌「オペレーションズ・リサーチ」に投稿するほか,昨年度に実施予定であったDC関数の凸多面体上での大域的最適解を求めるためのアルゴリズムの精緻な実装を実現し,既存のアルゴリズムとの比較実験の結果を論文にまとめて適当な学術雑誌に投稿する予定である.またできれば,DC最適化のアルゴリズムをDM最適化へと拡張し,その収束性など理論的挙動を明らかにしたいと考えている.

次年度使用額が生じた理由

6月に食道癌に罹患していることが発覚し,その治療のために入退院を繰り返さざるをえず,国内外の学会などへは11月のRAMP数理最適化シンポジウムと3月に筑波大学で開催された日本オペレーションズ・リサーチ学会のほか一切参加できなかった.後者は所属大学での開催であり,旅費の発生はなく,したがって予定していた旅費や,出張に関連する各種費用を消化しきることができなかった.これによって生じた次年度使用額は,国内外の学会への積極参加と,計算実験に必要なワークステーションの更新などに使用する計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] DC最適化に対する確定的アプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      久野誉人
    • 雑誌名

      RAMP数理最適化シンポジウム論文集

      巻: 第35回 ページ: 1-14

  • [学会発表] DC最適化に対する確定的アプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      久野誉人
    • 学会等名
      第35回RAMP数理最適化シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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