研究課題/領域番号 |
22K11925
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
高松 瑞代 中央大学, 理工学部, 教授 (70580059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 最適化 / 時刻表設計 / 時空間ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,鉄道・バスの路線や時刻表を設計することで人の滞留や分散を意図的に作り出し,人の流れを最適化することである.バス時刻表や鉄道路線,道路ネットワークなどの大規模データを用いて対象地域に対して数値実験を行い,現実社会へフィードバックすることを目指している.今年度は以下の研究テーマに取り組んだ. (1) バス時刻表とバス停付近の施設配置を同時に行うモデルの構築を進めた.本研究テーマでは,乗換待ち時間の長いバス停に商業施設を配置することで待ち時間を乗客にとって有意義な時間にかえ,人と人との交流や消費行動を誘導し,地域の活性化につなげることを目指している.今年度は,施設の種類(大型ショッピングセンター,カフェなど)によって滞在時間が異なる点に着目し,乗換待ち時間に適した施設を選択する施設配置とバス時刻表設計を同時に行うモデルの構築を進めた.乗客が乗換のために待つ時間帯と施設の営業時間が合うようにモデルを改良するのが今後の課題である. (2) 新たな研究テーマとして,災害時の帰宅困難者に関する研究に取り組んだ.2011年3月11日の東日本大震災では,500万人を超える帰宅困難者が発生した.このような場合,一部の鉄道路線だけを再開させると乗客が殺到し,大きな混乱が生じる恐れがある.そのため,時空間ネットワークを用いて人の流れを制御しながら乗客が帰宅できるように鉄道の運行を再開することが重要である.今年度は,帰宅困難者の行動モデルについて既存研究を調査し,首都圏における人の移動データの分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた時刻表設計や路線計画の問題から発展して,災害時の帰宅困難者に関する研究テーマを新たに進めることになった.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き,バス時刻表設計とバス停での施設配置を融合した最適化の研究を行い,高知県を対象として数値実験を進める.災害時の帰宅困難者の研究では,まずは道路ネットワークと鉄道路線ネットワークを構築し,帰宅困難者の移動シミュレーションを行って知見を深めた後で,帰宅困難者をスムーズに帰宅させる方法を提案し,数値実験により効果を検証する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデスクトップPCの購入を見送ったため,2023年度に購入する予定である.また,購入すべき道路地図データの対象範囲が当初の予定よりも広がる可能性があったため,モデルの詳細が決まるまで購入を見送ったが,2023年度に購入する予定である.
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