研究実績の概要 |
Polson and Scott (2012, Bayesian Analysis) では, sampling と prior の両方に正規分布を想定するベイズモデルにおいて,尺度母数の hyper prior として,half-Cauchy prior の良さが主張されている。その傍証として,多変量正規分布の推定問題において half-Cauchy prior の下でのベイズ推定量の良さ(特にminimaxixty)が数値的に検討されている。この問題の理論的な取り扱いが講演者の専門分野の一つであるが,実はこの事前分布のもとでのベイズ推定量の minimaxity は十分に研究されてこなかった。尺度母数を変数変換したとき U 字型になり,continuous spike and slab prior と見なせるのが half-Cauchy prior の大きな特徴である。しかし,U字右側の発散が,minimaxityを理論的に証明する際の典型的な道具として用いられてきた部分積分を妨げるのである。本研究では部分積分を工夫して,half-Cauchy prior というU字型事前分布の下でのベイズ推定量のminimaxityについて十分条件を与える。このとき,二つの合流型超幾何関数の比を下からバウンドすること,及び統計的決定理論の枠組みにおける数値に基づく結論の厳密さのための基礎的研究を行った。特に区間演算という精度保証付き数値計算が今回の研究テーマに利用可能であり,Python でコードを書いた。
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