研究課題/領域番号 |
22K11943
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
神保 雅一 滋賀大学, データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター, 特別招聘教授 (50103049)
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研究分担者 |
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 教授 (00283284)
繆 いん 筑波大学, システム情報系, 教授 (10302382)
盧 暁南 岐阜大学, 工学部, 准教授 (10805683)
松島 裕康 滋賀大学, データサイエンス学系, 准教授 (60828888)
田島 友祐 滋賀大学, データサイエンス学系, 助教 (70880558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | group testing / PCR test / 組合せデザイン / Blief propagation / MCMC |
研究実績の概要 |
2023年度は2種類の陽性に対するグループテストについて,belief propagationによるアルゴリズムとMCMCによるアルゴリズムを開発し,その有効性をシミュレーションにより評価した. アルゴリズムは研究代表者(神保)と滋賀大学の研究分担者(松島,田島)が担当し,Pythonで開発した.また,シミュレーションのためのpooling designの組合せ論的性質とそのアフィン幾何を用いた構成法は研究代表者と岐阜大学の分担者(三嶋,盧)が担当し,検査結果に誤りがない時に,2種類の陽性の場合のpooling designでd個までの誤りが識別できるための組合せ論的性質を定義し,1種類の場合の従来のd-separabilityなどとの関係を明らかにした.また,3次元有限アフィン幾何を用いて,検体数やpool数を柔軟に変えられるpooling designの構成法を示した. これらの結果をもとに,falsepositive/falsee negativeが存在する場合にパラメータを設定して,シミュレーション実験を行った.その結果,(1)pooling designのもつ組合せ論的識別限界を超える陽性検体が含まれていても一定数までは,高い確率ですべての陽性検体を識別できることが判明した.このことは,単にd-separabilityなどの基準だけでなく,separabilityを満たさない組合せ構造がpooling design含まれている確率を考慮した新たな基準を定義してアフィン幾何などによって構成されたpooling designが確率的基準でどの程度の識別力を有するかを評価する試みが必要であることが分かった. これらの研究成果は,統計関連学会,OR学会の研究集会で発表し,さらに,COMPSAC2024などで公表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はアルゴリズムのグループと組合せ構造のグループの2つに分かれて実施しているが,アルゴリズムのグループでは,belief propagationとMCMCの2つのアルゴリズムを開発し,それらを組み合わせたhybridアルゴリズムの評価まで進展している. また,組合せグループでは,アルゴリズムグループのシミュレーション結果から,単にseparabilityによりpooling designの評価をするのではなく,separabilityに確率的要素を含めた評価基準が必要であることを突き止め,新たな基準に対して,アフィン幾何などから生成されたpooling designがどのような識別力を持つかを理論的に評価しようという研究を開始した. 両グループの研究成果が相互に参照されて研究が進展しており,最終年度はシミュレーション結果だけでなく,新たな理論的知見も公表できるものと期待できる. 当初の目標に加えて新たな研究の方向性が見えており,最終年度はこれらの研究を論文などでこうひょうできるものと期待される. 一方,実用化に向けて企業などとの共同研究へという方向性は実現されておらず,その点は最終年度に実用性に向けた研究報告をまとめてwebなどで公表して企業などに有用性をアピールしていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
研究の進展状況の項にも記載した通り,シミュレーション結果からpooling designの識別力を従来の組合せ論的基準だけでなく,確率的な意味での識別力に注目して,各検体のテスト回数が3,4の場合に,検査誤りがないとき,陽性数dが与えられたもとで陽性検体をpooling designにランダムに割り付けたときに何パーセント程度の確率でd個のすべての検体を識別できるかを理論的に明らかにしたい.また,各検体のテスト回数が大きいとき,この識別力をシミュレーションなどにより評価したい. これにより,アフィン幾何などの組合せ論的手法で構成されたpooling designについて,従来,組合せ論的に得られていた識別力より,高い識別力を有することを明らかにしたい. また,本研究でbelief propagationによるアルゴリズムを開発したが,テスト結果にfalse positive/ false negativeの誤りがあり,pooling designが持つ2部グラフの構造に短いサイクルがある場合に,陽性検体が複数個の短いサイクルに含まれるとアルゴリズムが収束しないことがあることがわかっている.しかし,どのような誤りとどの程度の短いサイクルが存在すると収束しないか,その基準を明らかにしたい. さらに,本研究の研究成果をwebなどで公表し,その実用性をアピールする努力をしていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度の国際会議への参加を計画している分担者が2名おり,円安の影響で合計100万程度必要になると思われるため,2023年度の使用を控えた.また,研究代表者の分担金がパソコンの購入には不足であったために2024年度の物品費と合わせて購入を計画している.これらの使用額と今後の国際会議参加もあると思われるため,研究成果を発表するために最終年度に残した.
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