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2022 年度 実施状況報告書

擬似乱数と準乱数によるモンテカルロ統計計算の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K11945
研究機関立命館大学

研究代表者

原瀬 晋  立命館大学, 理工学部, 講師 (80610576)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード擬似乱数 / モンテカルロ法 / 準モンテカルロ法 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 統計計算 / ベイズ統計学
研究実績の概要

マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法のための準乱数とその応用に関する研究を行った。特に、2021年3月にJCAMより出版された研究代表者の論文における準乱数の設計方法の一般化を行い、論文を執筆して投稿した。
MCMC法のための準乱数では、短い周期の擬似乱数発生法を準備して、一周期使い切った際に現れる格子構造を逆手に取って利用して、準乱数として用いる方策を取る。ここで、準モンテカルロ法の分野で伝統的に使われている、t値と呼ばれる非負整数に基づき一様性を評価する。先行研究のJCAM論文では、二元体F2上の短周期Tausworthe発生法のパラメータを上手く決定し、2次元のt値が最適値0、3次元以上についても小さいt値をもつ準乱数を得た。しかしながら、梶浦-松本-鈴木により、F2上の演算に限ると、3次元のt値が最適値0を達成する最大周期Tausworthe発生法は存在しないことが証明されている。
ここで、3次元のt値が0となる準乱数の構成は学術的にも応用面からも大変興味深い。この要請を満たすため、先行研究の方法を二元体F2から一般の有限体に拡張し、位数3、4、5の有限体に対して、短周期Tausworthe発生法のパラメータを全数探索した。特に、位数4の有限体F4について、3次元のt値が0となる筋の良いパラメータが見つかった。さらに、拡大体における状態遷移行列を用いた高速生成アルゴリズムの着想を得て、F4上のTausworthe発生法に対して、F2の場合と等速で高速生成できるプログラムを作成した。また、MCMC法の数値実験として、ボストン住宅価格データを用いた線形回帰モデルのベイズ推定に適用して、本研究のF4上の準乱数、並びに、先行研究のF2上の準乱数の両者ともに、通常の乱数と比較して、収束性の大幅な改善が得られることを確認した。これらの結果をまとめ、論文を執筆し、投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題の初年度として、研究計画調書に記載した通り、研究を順調に遂行することが出来た。さらに、当初想定していなかった、二元体の拡大体における高速生成アルゴリズムの精緻化、及び、線形回帰モデルのベイズ推定などの相性の良いMCMC法の応用事例が見つかり、学術的な関心のみならず、実用化に結び付く研究成果が得られた。また、論文を一通り書き終えて、年度内に、投稿に至った。このため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

現時点で、2023年8月に早稲田大学で開催される国際会議ICIAM 2023 Tokyoでの口頭発表が決定している。ICIAM 2023 Tokyoでは、準モンテカルロ法の分野において第一線の海外研究者が、多数、来日予定であり、最先端の研究動向を勉強するとともに、研究成果発表を行い、海外研究者との研究討議の場として活用したい。また、研究計画として、t値に主眼を置いた、MCMC法のための準乱数の設計に関する研究は一区切りついたと言える。そこで、いままでの研究を通じて得られた準乱数を用いて、様々な統計モデルのベイズ計算に適用して、マルコフ連鎖準モンテカルロ法の応用研究を目指す。合わせて、擬似乱数、及び、準乱数のプログラムを整理して、ソフトウェア作成を進める。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により、当初、出張予定であった、日本応用数理学会2022年度年会の離散システム研究部会での口頭発表がオンライン開催に切り替わった。また、大学での授業を優先させて、授業期間中に開催される国際会議の海外渡航を見合わせている。執筆した論文の英文校正を2023年3月に行ったが、会計年度の都合で、業者払いが次年度に繰り越した。これらの理由により、未使用額が生じた。次年度の使用として、ICIAM 2023 Tokyoなどの長期休暇中に行われる国際会議・国内学会の参加費用、研究のノート作りに使用するタブレットの購入、統計・コンピュータ関係の図書購入に充てることを計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Fibonacci格子の多項式類似と準乱数生成への応用2022

    • 著者名/発表者名
      原瀬晋
    • 学会等名
      日本応用数理学会2022年度年会
  • [備考] F4上の短周期Tausworthe発生法のサンプルプログラム

    • URL

      https://github.com/sharase/cud-f4

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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