研究課題/領域番号 |
22K11958
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
和 遠 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任講師 (90884685)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 大規模コンピューターシステム / 製造上のばらつき / 不均一性 / パワーウォール / 電力効率 |
研究実績の概要 |
本年度では、大規模コンピューターシステムにおいてハードウェア・コンポーネントから製造上のばらつきや不均一性問題を検討するために、以下の四つの結果が得られた。 一、性能と消費電力を細かく調整できないコンポーネント(メモリーなど)では、システムの性能とバランスを保つために、希望する電力を提供するのがよい。このため、このようなコンポーネントの消費電力は、製造上のばらつきにより、常に異なっている。そのため、組み立てる位置に応じて、システムに合わせて調整必要であることがわかった。 二、性能と消費電力に関する細かい調整が可能なコンポーネント(CPUやGPUなど)については、実行時に性能と消費電力を調整し、システムのバランスを取ることができる。そのため、それらの組み付け位置は必ずしも重要ではないということが示された。 三、物理的な位置によって異なる冷却性能に基づき、新しい組み立て方法を評価した。この方法では、ノードの冷却性能は、組み立て時の位置に対して考慮された。性能的には、より良いノードをエアフロー入口に配置することで、ワークロードよりもノードの数が多い場合、不均衡だがより効果的なシステムを実現することができた。一方、より優れたノードをエアフローの出口に配置すると、よりバランスの取れたシステムを実現することができた。 四、蓄電デバイスをノード間の電力需求のギャップを埋めるために使用し、実行時に不均一性を隠すことができるように、簡単なテストが行われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の研究計画に沿って、ノードの組み立て・配置や蓄電デバイスの使用など、製造上のばらつきの問題解決に向けた取り組みが進んでいる。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度には、以下の二つの提案で研究を進めていく予定である。 一、大規模コンピューターシステムを構成する多くの部品において、製造上のばらつきが性能や消費電力に与える影響について徹底的に検証する。性能と消費電力の両方に影響を与える部品と、消費電力にのみ影響を与える部品があることに着目する。そのため、この二つのタイプの部品における製造上のばらつきは、異なる方法で考慮する必要がある。 二、追加電源(蓄電デバイスなど)を利用してノード間の電力需求のギャップを埋め、不均一性の問題を実行時に隠して解決する。この提案は、システムのサイズと追加電源の容量を変化させた場合に、どの程度効果的であるかを検証するために拡張される。 この二つの提案に基づき、今年度中に論文を作成する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行で会議への出席が難しいため、旅費の予算は使用しなかった。 次年度使用額は、旅費に充当される予定である。
|