研究課題/領域番号 |
22K11964
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
近藤 真史 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90590133)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ネットワークオンチップ / 画像処理 / ルーティング |
研究実績の概要 |
本研究課題では,管状組織を含む医用画像を対象に,ネットワークオンチップ(NoC)に基づく管径計測手法とその回路実装を目的としており,主にネットワークトポロジとルーティング手法について検討を行った. まず,提案のNoCに基づいた管径計測手法では,現在の注目画素に対する管壁画素の座標,すなわち既存のNoCでパケットに内包される転送先ルータのアドレスが未知となることから,管壁に至るまでの任意の方向θをパケットに内包することによる動的なルーティングを想定している.このとき,θ方向にパケットを伝搬するためには,tan関数等の演算回路が各ルータに必要となるため,回路面積の著しい増大を招く要因となる. そこで本研究では,探索方向を0~π/4単位に分割することでパケットの移動方向を2方向(0~π/4ならば右・上方向)に限定した上で,現在の移動量に基づいたθ方向の弧の長さと,π/4との弧の長さを大小比較することにより,次に伝搬すべき移動方向を決定する手法を提案した.この手法によれば,移動量のインクリメントと比較のみを以って動的なルーティングを実現可能であり,パケットシミュレーションの結果,tan値を用いたルーティングと同精度で管径を計測できることを確認した. さらに,既存のルーティング手法では,管状組織像上の画素に対応するルータのみが動作しており,NoC全体のルータの使用効率が低下するとともに,パケットが一部のルータに集中する現象が確認されている.この問題を解決するため,本研究ではネットワークのトポロジをトーラス形に拡張し,注目画素から管壁に到達した後の返送ルーティングにおいて,迂回経路を経て返送されるよう制御を施す等,ルーティングの負荷分散手法について検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハードウェア化を想定した効率的な動的ルーティングアルゴリズムの考案等,当初の実施計画の大部分は十分に達成されている.
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今後の研究の推進方策 |
ネットワークトポロジをメッシュ形からトーラス形に変更することで,各ルータにおける一定の負荷分散効果は確認できているものの,トーラス形に適した動的ルーティングアルゴリズムとそのハードウェアの検討が必要である. また,ハードウェアアクセラレータとしての実装を想定し,PCIe接続型FPGAボードへの実装手法についても並行して検討を推し進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
独立基盤形成に係る直接経費の増分を踏まえて,PCIe型FPGAボードの選定と購入時期の再検討を行ったため.
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