研究課題/領域番号 |
22K11976
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高木 智彦 香川大学, 創造工学部, 准教授 (70509124)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ソフトウェア工学 |
研究実績の概要 |
本研究は、ソフトウェアによって実現された複数のシステムの間の連携(システム間連携)に関する欠陥を仕様の段階で検出する手法を構築し、システム群が提供する機能の信頼性向上に寄与することを目的としている。本年度の成果は、主に以下の2点である。 (1) システム間連携に関する期待される振る舞いを仕様として記述するために、EPNAT(Extended Place/Transition Net with Attributed Tokens;属性付きトークンをもつ拡張プレース/トランジションネット)を応用する方法を明らかにした。EPNATは、システムの状態遷移に着目して実行可能かつ抽象的な形式仕様を記述するモデリング言語(拡張状態遷移モデル)の一種で、研究代表者らの過去の研究において考案されたものである。システム間連携を含む小規模なシステム群に関する例題に対して、EPNATによる仕様(EPNATモデル)を試験的に構築した。 (2) EPNATモデルを自動検証するための、モデル探索アルゴリズムや充分性評価基準を構築した。モデル探索アルゴリズムは、探索方向を無作為に選択するため効率がよいとはいえないが、指定された検証条件(システム群の仕様上満たされるべき条件)に対する違反を欠陥として検出できる。探索は、欠陥を検出するか充分性評価基準を満たすまで繰り返す。充分性評価基準は、システム間連携に関与するEPNATのモデル要素(グルー・トランジションなど)に着目して構築した。これらを評価用ツールに実装し、先述の例題に試験適用して有効性を議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) システム間連携に関する期待される振る舞いを仕様として記述するために、EPNATを応用する方法を明らかにするとともに、(2) EPNATモデルを自動検証するための、モデル探索アルゴリズムや充分性評価基準を構築することができたため。さらに、(1)(2)について成果をまとめ、国際会議で発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデル探索アルゴリズムや充分性評価基準を拡張すること、そしてそれらを評価用ツールに実装して有効性を議論することを予定している。必要に応じて、モデリング言語の拡張や他のモデリング言語の導入も検討する。得られた研究成果については、国内研究集会や国際会議、論文誌などで発表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議がオンラインでの開催となり旅費が不要だったこと、国際会議の参加費が想定よりも低い金額だったことなどの理由により、次年度使用額が生じた。次年度においては、研究成果を発表するための学会参加費や論文掲載料などに使用する予定である。
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