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2023 年度 実施状況報告書

後戻りに基づく動的負荷分散機構の新しい実装モデルによる高性能・高汎用化

研究課題

研究課題/領域番号 22K11984
研究機関京都橘大学

研究代表者

平石 拓  京都橘大学, 工学部, 専任講師 (60528222)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードプログラミング言語 / 並列・分散処理 / 高性能計算
研究実績の概要

これまで入れ子関数を用いたコードを変換先とするコード変換器としてして提供してきた「一時後戻りによる動的負荷分散」機能を,非標準のC言語機能である入れ子関数を用いず,ヒープ上に確保したスタックに「一時的後戻り」に必要な情報を保存することで,木探索アルゴリズムを,プログラマが必ずしも再帰呼び出しの書き方によらずに書けるようなプログラミングモデルを提案し,その構想についてポスター発表を行った.これは,昨年度に動作実験を行った実装方式を実際に利用するためのプログラミングモデルを提案したものとなる.この実装は,現時点では並列で動作するものではないが,ヒープ上に確保したスタックのトレースをワークスティール時に実施することで,従来のTascellと同等のワークスティール機構を実現するような具体的な実装方式の検討を行った.
Tascellの入れ子関数によらない他の実現方式として,C++の機能を利用した実現方法の検討・実装・評価を学外の研究者との共同研究により引き続き実施した.これは,具体的には入れ子関数のかわりにC++11のラムダ式を利用するものだが,今年度はラムダ式を単純に用いた場合に生じる大きなオーバーヘッドを削減するための実装手法の提案や,従来の入れ子関数方式の種々の実装の性能比較も行った.これらの成果は国際会議で発表した.
加えて,TascellとOpenACCを組み合わせることで,TascellのワーカがGPUを利用できるようにする機能拡張およびベンチマークアプリケーションによる予備評価も行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

入れ子関数ではなくヒープ上に確保したスタック上で一時的バックトラックを実現する方式のためのプログラミングモデルの設計および実装方式の検討に想定より時間がかかったため,研究の第二段階としていた「独自スケジューラの利用廃止」には至っていないが,開発そのものは進展している.
別に検討している方式の,C++のラムダ式を用いる実現方式の研究が進展していることもあり,総合的には現時点でおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

今年度までに提案したプログラミングモデルの実装の完成を急ぐとともに,次の研究段階である独自スケジューラの利用廃止に向けた検討および実装を進める.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は以下の通りである.
・発表を計画していたいくつかの国際・国内会議および論文投稿について,研究進捗状況に鑑み次年度以降に回すことにしたことで,旅費・参加費,出版費用が軽減されたため
・大規模並列計算の評価に必要なスーパーコンピュータの利用費用について,今年度については他の研究費から支出できることになったため
繰り越した金額は,上記の発表等にかかる費用や,次年度以降のスーパーコンピュータの利用料(場合によっては当初計画していたより大規模な計算環境を利用)として使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Designing Restartable Exception Handling Mechanisms for Implementing Efficient and Safe High-level Languages2024

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Yasugi, Kento Emoto, Tasuku Hiraishi
    • 雑誌名

      Journal of Information Processing

      巻: 32 ページ: 436-450

    • DOI

      10.2197/ipsjjip.32.436

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] バックトラックに基づく動的負荷分散の明示的スタックによる実現に向けて2024

    • 著者名/発表者名
      寺元 悠馬,平石 拓,八杉 昌宏
    • 学会等名
      日本ソフトウェア科学会プログラミング論研究会第26回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ (PPL2024) カテゴリ3
  • [学会発表] Portable Implementations of Work Stealing2024

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Yasugi, Tasuku Hiraishi, Chihiro Takeuchi
    • 学会等名
      International Conference on High Performance Computing in Asia-Pacific Region (HPC Asia 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] 高性能・高信頼な高水準言語の実装向け持続型例外処理機構の設計2023

    • 著者名/発表者名
      八杉 昌宏,江本 建斗,平石 拓
    • 学会等名
      第146回プログラミング研究会 (PRO-2023-3)
  • [備考] Tascell

    • URL

      https://github.com/tascell/sc-tascell

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公開日: 2024-12-25  

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