研究課題/領域番号 |
22K12029
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
櫻井 幸一 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (60264066)
|
研究分担者 |
上繁 義史 長崎大学, ICT基盤センター, 准教授 (00300666)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 電子投票 / 暗号プロトコル / ブロックチェーン / 無証拠性 / 投票ブース / 領収書なし / 強制耐性 / サイバーセキュリティ |
研究実績の概要 |
電子投票は理論面から実用面まで研究が行われている.理論的な技術としては準同型暗号,mixnet,ブロックチェーンをはじめとする暗号技術に基づく方式群がある.この中で、匿名秘密投票の実現が大きな課題であり,その一つに耐強制性確保という問題がある.現行の紙ベースでの投票においては,投票所の仕組みによって,強制を含む不正行為の抑止をはかる効果が期待できる.そのポイントは投票所内での投票者や立会人などの有権者同士による相互監視である.電子投票の理論研究においては,投票ブースでの投票機能について言及される事例はあるが,それ以外の不正行為を抑止する仕組みに関する言及は少ない.分権的かつ安全な電子選挙を考える上では,電子投票の投票ブースにおける不正抑止の仕組みが必要と考えられる.我々は、 この課題に対して、2つの成果を得た: [1] Leeらの電子投票プロトコル[Providing Receipt-freeness in Mixnet-based Voting Protocols, ICISC2023]は、無証拠性を主張している。しかし、我々は具体的に如何にして、強制投票の可能性があるのか。Leeらの方式を元に解析を行った。その成果は、コンピュータセキュリティシンポジム2023 にて、櫻井が口頭発表した。 [2] 上記[1]の継続発展研究として、既存研究における投票ブースでの不正行為への耐性について検討を行い,紙ベースの投票所の仕組みを参考に,耐性を実現するための要件について考察を行った、この成果は、暗号と情報セキュリティシンポジウム2024にて、上繁が口頭発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主題である、電子投票/インターネット投票(i-voting)での秘密投票の実現という課題に関して、その一つに耐強制性確保の問題がある.これに関する研究成果を外部発表できたことは、研究の1つの前進と評価している。 口頭発表したCSS2023やSCIS2024においても、会場から複数の質問とコメントを受けて、本研究に関する関心を対面で体感できた. また、関連する副題として、 RealWorldCrypto2023が東京/お台場で開催され、 櫻井は、翌日に開催されたワークショップRandomness Summit 2023にも参加した. ここで、主題との関連性を意識し、乱数ビーコンサービスの現状と課題を研究した。 この報告は2023年8月セキュリティサミットCSECの続報として、暗号と情報セキュリティ研究会2024にて、櫻井が口頭発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
[1]核心の挑戦課題を掘り下げる:インンターネット投票の実現への最終障害である票売買と強制投票を防ぐ電子選挙方式の設計に挑む。投票者ですら投票事実を第三者には証明できない無証拠性を満たす方式を、ブロックチェーン基盤で実現できるかを解明する。現在は、投票所における投票ブースでの無記名投票により、第三者が介入する不正を防いでいるが、この投票ブースを、電子的にオンラインで実現が可能かどうか、この技術的な限界も含めて、分散暗号計算論を使って解明する。
[2] 2023年発表の成果を英作文し、国際会議へ投稿/外部発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ明けもあり、国際会議への参加を控えた結果、国内での研究会とシンポジウムへの出張旅費が主体となった。次年度は、積極的な国際会議への論文投稿と国際学会参加を行いたい。
|