• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

加工編集に耐性のある深層学習に基づくメッセージダイジェストと著作権管理への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K12036
研究機関神奈川大学

研究代表者

木下 宏揚  神奈川大学, 工学部, 教授 (70202041)

研究分担者 森住 哲也  神奈川大学, 工学部, 非常勤講師 (70537422)
宮田 純子  芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (90633909)
細野 海人  神奈川大学, 工学部, 助教 (40955548)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード知覚ハッシュ / 電子透かし / CNN / 電子著作権管理 / メッセージダイジェスト / モデル圧縮
研究実績の概要

a)CNNノードのレスポンスを活用した知覚ハッシュ: ImageNetで訓練されたCNNモデル(VGG-16) のレスポンス(中間層や全結合層・出力層)を活用し,知覚ハッシュの生成を行った.レスポンスの選択が精度や計算コスト(ファイルサイズ,ファイルの生成時間)に与える影響を明らかにし,そのバランスが最も良いとされるレスポンスを特定した.また,別の機械学習モデルで画像の生成などに用いられるVAE(変分オートエンコーダ)において画像の本質的な情報が含まれている潜在変数のレスポンスに基づく知覚ハッシュの生成法を提案した.
b)CNNモデルの係数に基づく知覚ハッシュ: CNN モデルのモデル圧縮手法の中で,枝刈りと蒸留に焦点を当て,共有データサイズの削減を行いつつ,知覚ハッシュの識別精度と圧縮率の関係について評価を行った.また,別のアプローチとして,転移学習を基いることにより,知覚ハッシュの生成者と検証者の共有情報量を削減する手法の提案を行い,精度を保ったまま情報量の削減が可能であることを示した.また様々なCNNモデルについて,モデルのサイズ,識別精度の観点から比較検討をおこい,どのモデルが知覚ハッシュ生成に適しているか検討を行った.さらに,画像に対するCNNモデルの係数に基づく知覚ハッシュを音声情報に応用した.
c)知覚ハッシュを応用した電子すかし: 埋め込み可能な透かし情報を増加させ,透かし情報の復元の精度について検証を行い有用性を確認した.また,画像生成AIサービスのStable Diffusionを用いた加工について耐性を検証した。
d)電子透かしへのテンソルの応用: 知覚ハッシュを応用した電子透かしとの性能を評価するために既存の電子透かしの構成法の検討として,画像の特徴量ごとの重要性を解析するT-SVD法やテンソル分解、カオスマップなどを用いた手法を提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CNNの構造と状態に基づいた新しい知覚ハッシュの構成法については、CNNを用いた知覚ハッシュには対象画像を受理するように学習したCNNモデルの重み係数に基づく方法と一般の画像のクラス分類のためのCNNモデルに対象画像を入力した際のモデル中のノードのレスポンスに基づく方法がある。前者については、課題となっていたモデルサイズの削減について蒸留を用いた方法について初歩的な実装を行った。また異なるアプローチとして転移学習を用いた共有情報の削減法を提案しモデルサイズと同等の効果を確認できた。後者については、VGG16などのCNN以外のモデルとしてVAEなどのオートエンコーダを用いた手法を提案することができた。画像のグループを受理する知覚ハッシュについては、具体的なアプリケーションへの適応を検討しているが、準備段階にとどまっている。知覚ハッシュ技術の電子透かしへの応用については、従来問題となっていた埋め込み情報量を実用的なレベルまで向上させることができた。また、他の電子透かしとの比較検討を一定程度行うことができた。ブロックチェーンを用いた電子透かしの管理については、ブロックチェーン場への実装方法の検討にとどまった。CNNモデルへの電子透かし埋め込みについては、方式の検討にとどまった。以上のように予定された項目について、進捗状況に差はあるものの2年目としては概ね進捗状況は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

(1)画像などのコンテンツを識別するための固有の情報の知覚ハッシュに基づく著作権管理システム
CNNのノードのレスポンスを用いた方式と,CNNモデルの重み係数を用いた方式について,性能の改善や民俗学で扱われている実際の資料への適用など応用分野について検討を行う.加工編集に対する耐性を向上させるため生成AIを用いたオーグメンテーションの手法について検討する。また機械学習のモデルについてのVAEなど他の方式について検討を行う.さらに画像に対する知覚ハッシュを応用して、動画に対する知覚ハッシュや音声情報に対する知覚ハッシュ構成法を検討する。また学習済みのCNNモデルに対するメッセージダイジェスト構成法について検討する。レスポンスベースの方式の閾値の設定法について最適な手法を検討する。
(2)画像に様々な情報を埋め込む電子透かしやステガノグラフィにおいて画質と耐性を両立した手法の構築
知覚ハッシュによる電子透かしについて、埋め込み情報量の向上と攻撃に対する耐性の検証を行う。テンソルによる電子透かしについて性能の向上やボケ変換の応用など新しいアルゴリズムの適用について検討を行う.動画像の電子透かしについては静止画に比較して加工編集が多義にわたるため,これへの対応も検討する.

次年度使用額が生じた理由

コロナ明けの航空需要が十分回復していなかったため、イタリア開催の国際会議の参加費用が非常に高額になり現地参加を断念せざるを得なかった。このため国際会議がオンライン参加となったため、旅費の支出が減ったため次年度使用額が生じた。今年度は学会参加回数を増やすことで昨年度の残額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] CNN-based perceptual hashing scheme for image groups suitable for security systems2023

    • 著者名/発表者名
      Yusei Sugawara、Zhaoxiong Meng、Tetsuya Morizumi、Sumiko Miyata、Kaito Hosono、Hirotsugu Kinoshita
    • 雑誌名

      2023 IEEE 47th Annual Computers, Software, and Applications Conference (COMPSAC)

      巻: - ページ: 1231-1236

    • DOI

      10.1109/COMPSAC57700.2023.00186

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An Improved Intensity Factor of Correlation-based Steganography Using M-sequence and DCT2023

    • 著者名/発表者名
      Kaito Onuma and Sumiko Miyata
    • 雑誌名

      Springer Nature Computer Science

      巻: IoT 4, no. 2 ページ: 95-111

    • DOI

      10.1007/s42979-023-02361-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A DDoS Attack Detection Method Using Conditional Entropy Based on SDN Traffic2023

    • 著者名/発表者名
      Tian Qiwen、Miyata Sumiko
    • 雑誌名

      IoT

      巻: 4 ページ: 95~111

    • DOI

      10.3390/iot4020006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Client-Side Evil-Twin Attack Detection System with Threshold Considering Traffic Load2023

    • 著者名/発表者名
      Ueda Tomoyuki、Saif Amgad、Miyata Sumiko、Nakahara Masataka、Kubota Ayumu
    • 雑誌名

      023 IEEE 13th International Conference on Consumer Electronics - Berlin (ICCE-Berlin)

      巻: - ページ: 68-69

    • DOI

      10.1109/ICCE-Berlin58801.2023.10375616

    • 査読あり
  • [学会発表] 相関型ステガノグラフィの画質と情報損失を考慮したJPEG圧縮品質設定,2024

    • 著者名/発表者名
      相川真莉子、宮田純子、細野海人、木下宏揚
    • 学会等名
      信学技報, vol. 123, no. 452, CCS2023-50, pp. 64-69,
  • [学会発表] カオスマップを用いた所有権認証と改ざん検知のための二重電子透かし2024

    • 著者名/発表者名
      久保田浩平、宮田純子、細野海人、木下宏揚
    • 学会等名
      信学技報, vol. 123, no. 452, CCS2023-51, pp. 70-75
  • [学会発表] CNNノードのレスポンスを活用した知覚ハッシュ2024

    • 著者名/発表者名
      菅原裕晴,細野海人,森住哲也,木下宏揚
    • 学会等名
      信学技報, vol. 123, no. 421, SITE2023-101, pp. 203-210,
  • [学会発表] 意思を反映したトピック分析によるアクセス制御2024

    • 著者名/発表者名
      苅谷優太,森住哲也,細野海人,木下宏揚
    • 学会等名
      信学技報, vol. 123, no. 421, SITE2023-107, pp. 247-254, 2024年3月.
  • [学会発表] 民俗学資料におけるトピック間のエントロピー共起に基づく文書検索法の評価実験2024

    • 著者名/発表者名
      小松純也,森住哲也,細野海人,木下宏揚
    • 学会等名
      信学技報, vol. 123, no. 421, SITE2023-108, pp. 255-262
  • [学会発表] サイバーレジリエンスを考慮した情報セキュリティのためのオーケストレーションシステム2024

    • 著者名/発表者名
      佐々木碧,森住哲也,細野海人
    • 学会等名
      情報処理学会第86回全国大会,6ZC-06
  • [学会発表] セキュリティ対策の基本は組織内での情報共有とルールの徹底, 老健施設におけるサイバーセキュリティ対策2024

    • 著者名/発表者名
      木下宏揚
    • 学会等名
      老健(全国老人保健施設協会機関紙),vol.34-3,pp.13-16(2023-06),ISSN2345-4365

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi