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2023 年度 実施状況報告書

Webビッグデータを用いたパンデミックにおける人々の思いの計量化と可視化

研究課題

研究課題/領域番号 22K12041
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

若宮 翔子  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60727220)

研究分担者 劉 康明  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (90908138) [辞退]
SHE WanJou  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (40967410)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードソーシャルメディア / ソーシャル・コンピューティング / パンデミック / 感情分析
研究実績の概要

本研究では,人々が新型コロナウイルスのパンデミックに起因して抱えている不安,不満や未完遂の行動への願望などの<思い>を,大規模かつ継続的にモニタリングするために,Twitter (X) などのソーシャルメディアへの投稿に代表されるWeb上のビッグデータを分析して可視化する.
本年度(2023年度)は,主に以下に取り組んだ.
研究項目1.「感情分析とモダリティ解析による<思い>の抽出」では,全量日本語ツイートにおける「コロナのせい」というキーワードを含む投稿を分析し,コロナ禍における未完遂の行動への願望を抽出するとともに,時系列的な推移を調査した.また,コロナ禍の感染対策の一つとして実施されたマスク着用に焦点を当て,マスク着用に対する人々のスタンス(賛成と反対)や実際の行動を調査するためのデータセットを作成し,そのデータセットに基づく分類モデルを構築した.また,結果を地図上に可視化して,感染者数との比較を行った.
研究項目2.「コンテキスト解析による<思い>の測定」では,コンテキスト解析のために,テキストの位置情報を推定するためのモデルの開発を継続して実施した.これと関連して,モバイル端末データに基づく混雑度を用いて,ソーシャルメディアデータに基づくイベントセンシングの性能についての評価も行った.さらに,ツイートテキストにおけるユーザの行動を分類するモデルの開発も進めた.このモデルは,研究項目1のモダリティ解析とも関連するものである.
研究項目3.「可視化システムの構築と評価」では,地図上への結果の効果的な可視化方法について検討を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は,ソーシャルメディアデータを用いて,コロナ禍における未完遂の行動への願望,感染対策の一つの政策であるマスク着用に対する人々の態度を調査するとともに,コンテンツを解析するための基盤となるテキストからの位置情報推定技術や行動推定技術の開発にも着手した.研究成果の一部は,英文論文誌JMIR Infodemiologyに採録されるなど,一定の研究成果を挙げており,おおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

2023年度に主なデータソースであったTwitter がXとなった.この変更に伴い,データ収集用に提供されていたアカデミックAPIの仕様も変更され,リアルタイムなツイートデータを大規模に取得することが難しくなったことが一つの課題である.2023年度は全量ツイートとこれまでに収集したデータを活用することで研究を進め,今後も同様に進める予定であるが,新たなデータソースの利用可能性についても検討する予定である.今後は,孤独を感じている人々に焦点を当てるために,孤独を吐露しているテキストを分類するためのモデルの構築や,テキストに含まれる位置情報や行動を抽出するモデルの高度化を進め,研究をまとめていく.

次年度使用額が生じた理由

分析用PCを物品費として計上していたが,所属機関の計算サーバを代用したため,年度内完了が困難となった.次年度の可視化・評価用PCとして使用予定である.また,LLMの発展によりデータセットへのラベル付与にかかる人件費が大幅削減となったが,データセットのチェックや評価のための人件費・謝金として次年度に使用する計画である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Exploring the Impact of the COVID-19 Pandemic on Twitter in Japan: Qualitative Analysis of Disrupted Plans and Consequences2024

    • 著者名/発表者名
      Kamba Masaru、She Wan Jou、Ferawati Kiki、Wakamiya Shoko、Aramaki Eiji
    • 雑誌名

      JMIR Infodemiology

      巻: 4 ページ: e49699~e49699

    • DOI

      10.2196/49699

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Disruptions in the Cystic Fibrosis Community’s Experiences and Concerns During the COVID-19 Pandemic: Topic Modeling and Time Series Analysis of Reddit Comments2023

    • 著者名/発表者名
      Yao Lean Franzl、Ferawati Kiki、Liew Kongmeng、Wakamiya Shoko、Aramaki Eiji
    • 雑誌名

      Journal of Medical Internet Research

      巻: 25 ページ: e45249~e45249

    • DOI

      10.2196/45249

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Web ビッグデータを用いた人々の思いの測定2023

    • 著者名/発表者名
      若宮 翔子
    • 雑誌名

      Medical Science Digest 2023年 6月臨時増刊号

      巻: 49 ページ: 45~49

  • [学会発表] 孤独エピソードデータセットの構築とその応用2024

    • 著者名/発表者名
      藤川 直也,NGUYEN Quang Toan,伊藤 和浩,若宮 翔子,荒牧 英治
    • 学会等名
      第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (DEIM2024)
  • [学会発表] 人口動態を基盤としたソーシャルセンサのパフォーマンス分析2024

    • 著者名/発表者名
      大西 駿太朗,矢田 竣太郎,若宮 翔子,荒牧 英治
    • 学会等名
      第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (DEIM2024)
  • [学会発表] ソーシャルメディアテキストからのユーザ行動の分類2024

    • 著者名/発表者名
      中岡 明義,若宮 翔子,荒牧 英治
    • 学会等名
      第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (DEIM2024)
  • [学会発表] 不法行為としての誹謗中傷検出と検出理由の説明可能性の検証2024

    • 著者名/発表者名
      久田 祥平,矢田 竣太郎,若宮 翔子,荒牧 英治
    • 学会等名
      言語処理学会第30回年次大会 (NLP2024)
  • [学会発表] そのメッセージは誰の目に留まるのか?言語的特徴を用いた指向性推定2023

    • 著者名/発表者名
      若宮 翔子
    • 学会等名
      第2回日本医学サイエンスコミュニケーション学会学術集会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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