研究課題/領域番号 |
22K12066
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
村上 晃一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 准教授 (10353369)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線シミュレーション / 線量計算 / 放射線治療 / GPGPU / 超並列計算アルゴリズム |
研究実績の概要 |
近年、粒子線によるがんの放射線治療の手法が高度化している。アダプティブ放射線治療や、ホウ素中性子捕捉治療(BNCT)、高線量率超短時間照射(FLASH)などといった次世代の放射線治療においては、その線量評価に用いる線量計算エンジンの高精度化、高速化が求められる。本研究では、モンテカルロシミュレーションを利用した高精度かつ超高速な線量計算エンジンを開発する。最新のGPUコンピューティングの技術を取り入れた国産線量計算エンジンを開発し、次世代の放射線治療への応用を計る。従来のモンテカルロシミュレーションと同精度で数百倍の高速化を実現し、次世代の放射線治療に応用展開していく。 本年度は、GPUによる線量線量計算プログラムの改善を実施し、電磁相互作用やハドロン相互作用に関して、Geant4の物理過程の実装とその物理検証作業を実施した。X線を用いたアダプティブ放射線治療や陽子線のスポットスキャンニング治療での応用において、本研究の線量計算プログラムが、既存のモンテカルロシミュレーションと同精度の計算精度を実現していることを確認した。また、実行速度面でも、CPUを用いた既存コードとの比較で、X線のシミュレーションで500倍、陽子線のシミュレーションで、100倍程度 (1CPUコア比)の高速化を実現した。年度末には、新型のGPUが発売され、さらなる性能向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPUによる線量計算エンジンの開発は順調に進んでいる。計算精度や実行速度面においても、実際の放射線治療での利用を想定した検証作業により、当初の研究計画の目標を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究開発項目としては、GPUの性能をより活かすための超並列粒子輸送アルゴリズムの改良を引き続き実施していく。新たな機能として、レイトレーシング技術を応用したジオメトリ輸送アルゴリズムの実装を行い、より多様なジオメトリ形状を扱い、粒子輸送の性能向上を目指す。また、引き続き、放射線治療でのアプリケーションにおいて、本研究の線量計算エンジンの検証に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症のため、当初予定した国際会議に参加できなかったため。 国際会議への参加や新型GPUの購入に使用する。
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