研究課題/領域番号 |
22K12132
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
玉田 靖明 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (90803875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 知覚的エゴセンター / VRコンテンツ |
研究実績の概要 |
2022年度は,実験機材を揃え,実験プログラムを作成した.視覚的エゴセンターを測定するための従来手法ではLEDなどの実物の刺激が用いられたが,Unityを用いてVR空間で視覚的エゴセンターを測定できるようにした.被験者の利き目,左右眼の視力,両眼での立体視力,瞳孔間距離とVR空間で測定した視覚的エゴセンターの相関を調べた.その結果,利き目,立体視力,瞳孔間距離については,視覚的エゴセンターとの相関は見られなかった.左右の視力差が極端に大きい被験者については,視覚的エゴセンターの左右方向の位置が視力の高い眼の方にシフトする傾向がみられた.これは従来研究の結果からも予測されるものであり,VR空間での視覚的エゴセンターが定性的にはうまく測定できていることを示唆している.一方で,視覚的エゴセンターの前後方向の位置は両眼の中点よりも前に位置することがわかった.これは,従来研究とは大きく異なり,ヘッドマウントディスプレイを用いるときには視覚的エゴセンターが前方にシフトし,頭部の外側に位置する場合があることを示唆している.以上の内容をまとめ,日本視覚学会夏季大会において「ヘッドマウントディスプレイを用いた視覚的エゴセンターの測定」という題目でポスター発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来研究では視覚的エゴセンターは両眼の中点付近に位置することが示されているが,ヘッドマウントディスプレイを用いてVR空間に刺激を呈示したときに視覚的エゴセンターが前方にシフトすることを示した.これが真実であれば,とても興味深い新たな問題を見つけたといえる.一方で,実験時にたまたま視覚的エゴセンターが前方に集まった被験者が多く含まれていた可能性も否定できない.そこで,より従来研究に近い実験手法でも同様の実験を行い,ヘッドマウントディスプレイを用いた実験と比較を行い,その測定精度の妥当性を確かめる必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
ミラーステレオスコープを用いた実験でも視覚的エゴセンターは両眼の中点付近に位置することが示されている.ミラーステレオスコープの実験環境を整えるのは比較的容易なので,それを整備し,ヘッドマウントディスプレイの条件との比較を行う.さらに,視覚的エゴセンターと物理的エゴセンター(ゲームエンジン上でのバーチャルカメラの位置)とで人間の視覚的な感度に差があるかどうかを調べていく.
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