研究課題/領域番号 |
22K12135
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中村 聡史 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (50415858)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダークパターン / 選択誘導 / 公平 / 時間差表示 / 選択 / 選択インタフェース / 公平性 / 生成AI |
研究実績の概要 |
通販サイトなどで消費者の心理的なスキをついて定期購入や入会をさせる、余計な商品の注文を促すなどのダークパターンが広がりを見せている。選択の誘導に関するダークパターンとしては、一部を目立たせる方法が取られることが多いが、目立たせることなく視線を誘導して選択させる方法も考えられる。そこで本研究課題では、「一部を目立たせずに選択を誘導するユーザインタフェース(ダークパターン)はあるのか?」という問いのもと、一見選択を誘導していないように見せかけて選択を誘導してしまうユーザインタフェースを検証するものである。また、そもそも選択ができるだけ平均化される選択肢をどのように生成するかについても検討を行うものである。
2023年度も、一見選択を誘導していないように見せかけて選択を誘導するインタフェースとして、6択の選択肢が逐次表示されるなかで、一部の選択肢が遅れて提示される手法を提案し、その選択肢の遅延表示が選択を誘導する可能性についてクラウドソーシング向けの実験システムを構築し、のべ2000人を対象とした実験を実施した。その結果、大きな差異はないものの、提示場所によっては選択誘導効果があることを明らかにした。 またその発展として、選択肢を生成AIにより生成した画像を用いた実験を実施した。その結果、画像+テキストであればある程度選択を平等にできたが、画像のみの選択肢においてポップアウトの効果や細い差異が選択を誘導するようなケースも見受けられ偏りが生じることもあった。この点については、今後の研究で改善予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラウドソーシング上での選択実験について、選択肢の色やフォント形状などを用いた実験を実施することで、選択誘導効果について検証を行ったこと。 また、逐次表示における遅延という時間差表示手法を提案し、クラウドソーシングを用いた実験を実施することで、提示場所によっては選択誘導効果があることを確認したこと。 また、生成AIを用いた選択肢の生成について検討を行い、どういった選択肢だと選択が公平になり、どういった選択肢だと選択が偏るかなどのを明らかにしたこと。
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今後の研究の推進方策 |
選択肢の一部を時間差表示する他の手法についても提案し、検討を行っていく。ここでは特に、ウェブブラウジング中に自然に生じるようなインタフェースの乱れを利用した手法について検討を行っていく。 また、より平等な選択肢についても検討および検証を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
円安の影響で出張旅費に大きな変動が生じたため。
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