研究課題/領域番号 |
22K12142
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野田 五十樹 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (40357744)
|
研究分担者 |
小山 聡 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (30346100)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | マルチエージェント / シミュレーション / ゲーム / 社会シミュレーション / 不均質 |
研究実績の概要 |
本研究では、ビッグデータと連動させるマルチエージェント社会シミュレーション (MASS)における非均質性の影響の分析とそれに基づいたシミュレーションの精度向上手法の確立を目指している。 それに向けて本年度は、まず[A]エージェントモデルアプローチとして、ゲーム探索に置いて、エージェント行動の偏りの1つである予測スコアを分布で学習する枠組みを構築し、単純に強いゲームエージェント以外に、相手やシミュレーション局面に適応できる手法を開発した。また、交通における渋滞を偏りとみなし、その局所的な情報から交通の平滑化・円滑化を試みるモデル、粘菌モデルの提案を行い、競合する交通流を円滑に誘導するグリーンウェーブが生成できることをシミュレーションで示すことができた。 [B]エージェント行動結果アプローチとして、シミュレーション設定を柔軟に変更しつつ大規模並列実行・分析を行う枠組みWaffleの開発をさらにすすめ、シミュレーションによる行動結果と実データの同化が様々な応用で可能であることを示した。また、人流シミュレーションとして、行動結果から災害対策の評価を行う手法を、津波避難を題材にテストケースを分析した。さらに、都市部におけるイベント人流を題材として、不均質さの発生度合いや、不均質さに起因する渋滞の削減などを目的とした誘導手法のシミュレーションに着手した。 以上、当初の目標通り、マルチエージェント社会シミュレーションの応用を広げる基盤となる技術開発を進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汎用的なツール Waffle の開発や、粘菌モデルを始めとする基礎的な数理モデルや分析手法を確立してきている。さらには、基礎的な研究にとどまらず、交通・人流・ゲームなど、多用な応用に展開することができている。交通・人流については、実用的な設定において、初期の不均質さがどのように現象の進展に影響し、また、さらなる不均質さを生じるかなどを分析することができ、2年次に予定されていた目的を満たしてきている。また、ゲームにおいては、スコア分布の不均質さを活用することで、通常のゲーム探索では実現しにくい様々なゲーム展開を可能とすることを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
粘菌モデルを中心とする数理モデルでは、より複雑な条件下での適用可能性を探り、汎用的な枠組みとして手法を確立していく。 Waffleなどデータ同化・シミュレーション分析のツールについては、さらに大規模な応用に対して、活用を広げていく。 交通・人流・感染症・ゲームなどの応用に関しては、より実用的な分析・応用を広げるとともに、基礎となる数理モデルの改良・拡張のもととなる現象の発掘に務める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果発表として、3月期に行われる学会を予定していたが、より適切な学会を選んだ結果、6月開催のものになった。このため、成果発表にかかる参加費・旅費分としての余剰が出ることになった。 この余剰については、6月開催の当該学会で使用予定である。
|