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2022 年度 実施状況報告書

構文論に基づく自然言語推論システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K12148
研究機関名古屋大学

研究代表者

加藤 芳秀  名古屋大学, 情報連携推進本部, 准教授 (20362220)

研究分担者 松原 茂樹  名古屋大学, 情報連携推進本部, 教授 (20303589)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード自然言語推論 / 構文構造 / タブロー法 / ニューラルネットワーク / 否定スコープ認識
研究実績の概要

本研究では,構文構造を操作対象とした推論と,ニューラルネットワークに基づく推論とを組み合わせた自然言語推論システムを開発する.テキスト間の推論的関係を,ニューラルネットワークに基づく手法と同程度の精度・カバー率で同定し,かつ,それが同定される過程を人が解釈できる形で提示できる自然言語推論システムの実現を目標とする.本年度は,(1)開発する自然言語推論システムのモデル理論的な定式化,(2)自然言語推論を指向した構文解析の開発,を行った.
(1)本研究では,ニューラルネットワークに基づく推論と,タブロー法に基づく証明を統合した自然言語推論システムを開発している.本システムの理論的な限界を明らかにするために,開発する自然言語推論システムをモデル理論的に定式化し,その理論的性質を明らかにした.開発するシステムにおいては,ある種の健全性が常に成り立つ一方で,完全性については成り立たないケースがあることが明らかとなった.
(2)文中に出現する否定表現について,その影響が及ぶ範囲(スコープ)を同定する構文解析手法を開発した.自然言語推論において,スコープの同定は重要な役割を担う.本手法では,否定表現のスコープを構文構造に基づき同定する.本手法は,ヒューリスティックなルールに基づく従来手法を改良したものである.ニューラルネットワークに基づく構文解析とルールに基づくスコープ同定を組み合わせることにより,否定スコープ認識タスクにおいて,ニューラルネットワークに基づく最新の手法と同程度の精度・再現率が達成できることを実験により確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)本研究で開発する自然言語推論システムの理論的限界を明らかにした.開発するシステムの限界を明らかにすることは研究の方向性を見定める上で重要であり,意義のある研究成果である.本研究成果は,国際会議PACLICにおいて発表した.
(2)自然言語推論システムのコンポーネントとなる構文解析システムを開発した.当初の研究計画通り,スコープを同定できる構文解析を実現し,否定スコープ認識タスクにおいて従来手法と同程度の性能を達成することができた.

今後の研究の推進方策

当初の研究計画通り,令和5年度は以下の研究課題に取り組む.
(1)自然言語推論を指向した構文解析を開発する.今年度の研究成果である否定スコープ同定の機能を組み込んだ構文解析を拡張し,量化子,命題的態度などのスコープを扱える構文解析を開発する.
(2)自然言語推論のための推論ルールを拡充する.最新の常識的知識ベースの成果などを取り入れ,常識的知識に基づく推論についてその推論ルールを検討する.

次年度使用額が生じた理由

当初,想定していたコーパス作成について遅れが生じている.令和5年度に実施する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ニューラルモデルとタブロー法を用いた自然言語推論2023

    • 著者名/発表者名
      佐治 礼仁,高尾 大樹,加藤 芳秀,松原 茂樹
    • 雑誌名

      自然言語処理

      巻: 30 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Model-Theoretic Formalization of Natural Language Inference Using Neural Network and Tableau Method2022

    • 著者名/発表者名
      Ayahito Saji, Yoshihide Kato, Shigeki Matsubara
    • 雑誌名

      Proceedings of the 36th Pacific Asia Conference on Language, Information and Computation

      巻: - ページ: 430-437

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 空所化情報を考慮した句構造から依存構造への変換2023

    • 著者名/発表者名
      小林幹輝, 加藤芳秀, 松原茂樹
    • 学会等名
      言語処理学会第29回年次大会
  • [学会発表] 否定スコープ認識における構文構造利用の再検証2023

    • 著者名/発表者名
      吉田朝飛, 加藤芳秀, 松原茂樹
    • 学会等名
      言語処理学会第29回年次大会
  • [学会発表] 文法性判定に基づくクエリ指向の文圧縮2022

    • 著者名/発表者名
      林 律希, 加藤 芳秀, 松原 茂樹
    • 学会等名
      第21回情報科学技術フォーラム

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公開日: 2023-12-25  

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