研究課題
本研究課題は,脳神経系の低消費エネルギー特性を模倣しつつ,実用化可能な動的確率情報処理システムの構築を究極的な目標としており,その達成に向けて,従来の確率型情報処理モデルでは十分に扱われてこなかった「時間」や「学習」に関する確率性を神経回路レベルで取り込む数理モデルの構築を主たる目的としている.2022年度から2023年度にかけては,音楽ゲームを模倣したタッピング課題を通じて行動および脳波データを収集し,不規則性が行動戦略に与える影響を検討するとともに,状態空間モデルやベイズモデルを活用した行動の確率的モデリングを進めた.また,神経回路レベルでは,シナプス伝達遅延や微分不可能な情報表現といった要素に注目し,学習則への確率性導入の可能性を理論的に探った.2024年度には,離散時間の2値型確率モデルを指数型分布族を基盤とする連続時間確率モデルへと拡張し,それに対応する確率的学習則の構築に成功した.加えて,シナプス伝達遅延を含む学習則の確率的拡張に関する理論的検討も継続して深化させた.さらに,行動の不規則性が人間本来の特性か,あるいは学習によって改善可能かを検討するため,被験者が視覚的に自身のタッピングタイミングを確認できるフィードバックシステムを構築し,それを用いた学習効果を捉えるベイズ型モデルの導入と実験も開始した.これらの一連の研究により,神経回路モデルと行動モデルの双方において,時間的および確率的側面を統合的に扱う数理的枠組みの基盤が形成されつつあり,将来的な実用化に向けた展開に資する重要な成果が得られつつある.
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iScience
巻: 28 ページ: 111936~111936
10.1016/j.isci.2025.111936
PNAS Nexus
巻: 3 ページ: pgae261
10.1093/pnasnexus/pgae261
https://www.nips.ci.ritsumei.ac.jp