研究課題/領域番号 |
22K12199
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
増山 直輝 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 准教授 (00815607)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クラスタリング / マルチラベル学習 / コンセプトドリフト / 継続学習 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,知識の選択的忘却による学習性能の向上と,保存している知識の頑健性向上を実現する学習システムの提案を目的とする.具体的には,継続学習が可能な適応的クラスタリング手法をベース手法として,破滅的忘却を伴わない知識の選択的忘却機構と,知識の選択的忘却に基づくコンセプトドリフトへの対応を実現する手法の開発を行う.また,提案手法の有効性を検証するため,人工・実世界データセットを用いて,他の最新手法との識別性能の定量的比較を行う.また,比較実験から提案手法の利点と欠点を明確化することで,今後の研究に関する議論と検討を行う. 2022年度は,コンセプトドリフトが可能な最新手法に関する文献調査と,継続学習が可能なクラスタリング手法の機能的拡張を行った.機能的拡張として,(A) 手法のマルチラベルデータへの対応と,(B) データセットごとに適切な値が異なるパラメータの自動調整機構の提案を行った.(A) に関して,実世界のデータは本質的にはマルチラベルであるため,実応用を見据えた場合に必須の機能と言える.提案手法は,ラベル情報の追加/削除に対応可能なマルチラベル学習手法を継続学習が可能なクラスタリング手法に統合することで,データのみならずラベル情報の継続学習を実現した手法を提案した.(B) に関して,コンセプトドリフトの種類として,データ分布自体が変化する状況が存在する.このような状況下においては,適切なクラスタリングを実現するために,手法が持つパラメータをデータの分布に合わせて調整する機能が必要である.提案手法は,入力されるデータの分布から適応的にパラメータを推定することが可能であり,さまざまな実世界データセットに対して,事前のパラメータ設定を必要とせずに高いクラスタリング性能を示すことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度では,コンセプトドリフトに対応する最新の研究に関する文献調査を行い,実応用を見越した機能を有する手法の提案を行った.研究成果として,学術論文1報の採録と,1件の研究会報告を行った.文献調査による最新手法の把握や研究成果の論文化など,順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,2022年度に提案した手法に対して,学習した情報を忘却することでコンセプトドリフトに対処し,効率的な学習を実現する機構の提案を行う.また,定期的に国際会議などで成果を発表することで,研究内容の発信や今後の共同研究の機会を積極的に模索する.
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金を研究室学生のRA費として計上していたが,当該学生の事情により雇用ができなかった為,謝金に大きな差額が発生した.2023年度は積極的に雇用する旨を伝え,当該学生も同意している. 旅費に関して,コロナ渦の収束に伴い,国際・国内会議が対面のみ実施となり,想定よりも多くの支出が発生した.また,物品費に関して,2022年度は比較的小規模なデータセットを利用したため,高性能な計算機が不要であった.2023年度は実世界大規模データセットを活用予定なので,高性能計算機を購入する予定である.
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