研究実績の概要 |
本年度は特に無人航空機のConflict Managementという視点でそのシステム構造を整理し、システム構造に必要な要素であるSeparation Provision (SP), Remain Well Clear (RWC), Rights of Way (RoW)などの設定値やルールに属する部分の抽出と、それがどのように無人航空機の多体運航に寄与するのかをまとめる研究を行った。無人航空機の運行管理(UTM)システムの各国の法制度や国際標準に記述されている内容の比較と、Detect and Avoid (DAA)技術に関する手法のSurvey, 加えて、Counter UAS (CUAS)技術に関する調査と、UTM、DAA、CUASの3者が、各国のポリシーや地上リスク、空中リスクと併せてSP, RWC, RoWと密接にかかわることを、当該年度では示した。 研究発表では、第60回飛行機シンポジウムにて、UTMとDAAの融合に対する紛争解決の協調の提案として発表し、UTMとDAAに関して、多体運航に対するリスク尺度として自動運転車で利用され始めているResponsibility-Sensitive Safetyのルールを、RoWルールとして適用する場合についての考察を発表した。また、EMC環境フォーラムでかいせうとして低高度空域利用におけるコンフリクトマネジメントと電波利用の問題点を発表した。AROB2023では、Comparison Study for Very Low UAV Traffic Management between US, EU, and ISOとして、各国が導入しようとしているUTMの機能の種類を比較し、UASの自律航行に対して、UTMがどのような責任を持つべきかを議論した。
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今後の研究の推進方策 |
技術面としては、初年度に開発したシミュレーションを用いて、様々なフライトパターン、フライト密度等の条件において、一番簡便なRoWルールを適用して相互に回避行動を取らせた場合に、どのような現象が起きるのかを観測し、有効なRoWルールを見つけることである。また、この時に、どのタイミングで回避行動を取らせるのかに資するEmergency Levelに対応する数値表現を確立することが目標である。既に構築してあるシステムを用いての評価を含め、追加で必要なシミュレーションの要件を抽出して、構築と観測を同時並行に進めていく予定である。 また、これらから得られた結果を用いて、特にJUTM次世代空モビリティ運航研究会での国内ステークホルダーとの意見交換や、ISO TC20/SC16 WG4 (UTM), WG8 (CUAS), AG5 (DAA)の標準化活動に資する調査と共に、具体的な『有効であるRoWルールの選定』を、多体の衝突可能性シミュレーション環境を構築することで探ることを検討している。
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