研究課題/領域番号 |
22K12206
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
矢口 勇一 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (00609109)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リスク評価 / 衝突回避 / 無人航空機 / ロボットシミュレーション / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究の到達目標は、無人航空機の運航に関するリスク評価指標の確立が主である。本年度においては、UAS複数機に対する衝突回避のシミュレーションを用いて、Well Clear Volumeの適正化についての検討を中心に行った。UAS複数機のシミュレーションについては、屋内・屋外と可能性があるが、屋内においては、画像処理等を用いて生成されるモデルをシミュレーターに統合する部分についての研究を行った。また、現在、屋内に置いて、DAAを行うための画像処理(Yolo v8を用いて)による画像ベースの衝突回避の実験を行っている。屋外については、リスク評価のための指標として、UASの動的な特徴を反映したWell Clear Volumeの算出方法、墜落時の地上リスクを評価するための手法、魚眼レンズによるDAAののための回避技術の方法等の提案・構築・研究を行っている。 UASの運航で評価すべきリスクは、地上リスクと空中リスクの2つが挙げられる。地上リスクは人や物件との衝突であり、空中リスクは他の航空機や自然物との空中での衝突である。地上リスクで評価の対象となるのは基本的に人口密度や、人に衝突する確率である。空中リスクは、空中で他の航空機と衝突するリスクであり、それは、翼間1mにも満たない小さいUASであっても、有人機等との衝突の可能性がある場合、非常に高いリスクとなる。 本年度は、地上リスクに置いては、航空写真からのテクスチャ解析によって得られる地上物のクラスタリングによって、地上リスクを判定することを提案している。特に、メッシュが30cm程度のメッシュとして表現できることで、小さいUASに対しても利用できる。 空中リスクに対しては、動特性に対して合うWell Clear Volmeを検討して、その上で右側通行ルールで回避が可能かどうかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の到達目標は、無人航空機の運航に関するリスク評価指標の確立が主である。そのため、本年度は、地上リスク、空中リスクの2つについて、それぞれ地上リスクは地上にある構造物についての評価を、空中リスクについては、機体間の離間ののための体積に対しての考察を行った。 地上リスクについては、現時点で人口密度マップを用いていることが多いが、我々は衛星写真等の情報から、地上にある物体に対して30cm四方を1要素としたテクスチャ判別を行い、そのテクスチャに示されている物件を対象に、地上リスクを評価することで、より緻密に、UASのサイズに合った地上リスクを計算することが出来ることを提案している。また、その地上リスクマップから、地上リスクを最小化するような経路を計算する場合に経路が過密化する場所を特定することが出来、これが空中リスクであるとすることも可能であることを提案している。 空中リスクに関しては、マルチローター機などのUASに対して、その動特性をシミュレータ等で導出し、それに沿った『10秒後位置』や『3秒後位置』に基づいた『離間体積』を計算すること、また、それと共に、その離間体積に入っていた時の制御ルールについて、右側通行の原則を充てることでどの程度衝突回避が可能かどうかのシミュレーションを行った。結果として、現時点で制御ルールに沿っているが、離間体積に対しての確認が3秒や5秒といった間隔で制御を行いながらやっている状態で、6台まで同時に交差するケースでは十分回避可能であるが、8台など台数が多くなった時に、タイミングによっては回避しきれないという状況が発生している等報告している。 その他、屋内ケース、屋外ケース等を含めて、順次検討している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度については、実際に衝突回避などを行う多体のUASの実機を構築して、検証を行う者である。現在、Kopix X8を5台構築しているほか、屋内ケースではDJI Tello5台を用いて実証中である。これらの実証を強力に進めていくことを目標としている。 また、併せて、AI等、機械学習を含めた場合に対する『運航側』のリスク評価を検討することを行い始めている。強化学習等を行う場合、非決定論的に学習させたものを利用するならば、1%でも瑕疵がある場合はそれはリスクである。しかしながら、シミュレーション等で、これらの1%の瑕疵を事前に把握してそのリスクある選択を除去できるなら、これはリスクを低減することが出来るはずである。こういった部分を、検証しながら、各コンポーネントでどのように作用するかについて、検証を行っていく。
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