研究課題/領域番号 |
22K12218
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
日根 恭子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70625459)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音楽 / 覚醒水準 / パーソナルテンポ / 個人差 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、音楽からどのように覚醒水準が引き起こされるかを明らかにするため、個人の内的特性と内的状態を反映するパーソナルテンポに着目し、音楽のテンポとパーソナルテンポから、どのように覚醒水準が引き起こされるかを、実験的に明らかにすることを目的としている.そのため、一般成人を対象とした心理物理実験を実施し、音楽のテンポとパーソナルテンポ、および覚醒水準の関連を検討する. (1)内的特性としてのパーソナルテンポについて、覚醒水準と関連のある記憶に着目した実験を行い、得られたデータについて分析を行い、音楽のテンポ記憶とパーソナルテンポの関連を検討した.その結果、テンポ記憶とパーソナルテンポの関係は、パーソナルテンポの測定方法と記憶の再生方法によって変わることが明らかとなった. (2)内的特性としてのパーソナルテンポについて、音楽のテンポ記憶におけるワーキングメモリの役割を検討するための実験を行い、得られたデータについて分析を行った.その結果、パーソナルテンポには感覚性・運動性の二種類があり、それぞれワーキングメモリの影響が異なることが示唆された. (3)個人の内的状態としてのパーソナルテンポがどのように音楽聴取時の認知に影響を与えるか検討するため、疑似心拍が音楽の好みのテンポに与える影響を検討するための心理物理実験を実施した.その結果、疑似心拍の速さが、音楽の好みのテンポに影響を与えることが明らかになった. また、音楽聴取時の覚醒度とパーソナルテンポのかかわりに関する研究について、論文を投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を通じて、①内的特性と②内的状態を反映するパーソナルテンポに着目し、音楽のテンポとパーソナルテンポが覚醒水準にどのように寄与しているかを明らかにする.これまでに、①内的特性、②内的状態を反映するパーソナルテンポの両方について,覚醒水準に与える影響の検討を実施しており、おおむね順調であるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
①内的特性②内的状態の両方を同時に考慮した実験を実施する.この実験終了後、これまでの実験結果とともに総合考察し、音楽により引き起こされる覚醒水準について認知モデルを検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験参加者募集方法を工夫したことにより、謝金の予算額と実際の支出額に差異が生じた.今後の実験を円滑に進めるため、同時に複数人のデータが取得できるよう、設備拡充のための実験機器購入に使用する計画である.
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