研究実績の概要 |
今年度は動画視聴に関する主観の連続測定法、メディアと感情や共視聴に関する文献収集を通し手法の検討と計画の再検討、機器準備を行った。 まず1)動画視聴を生理指標で連続測定した櫻井・清水(2008, 2012)、吉田・福川(2022)、野村・荒生・長谷川(2019)等を検討した。焦点はデバイスによる主観的臨場感の測定法で、先行研究ではスライダーやジョイスティックをHSPやVBのプログラムで制御している。そこでジョイスティックを購入、試作の結果、通常のゲームコントローラが利用可能なことが明らかになった。但し測定する感覚は研究で異なり(例.没入感、ポジティブーネガティブ)、それによりデバイスの動く方向等を決める必要がある。今のところ「ワクワク感」(覚醒&快感情)が候補。感情測定はMauss & Robinson(2009)によるレビューも参考とし、測定指標は、主観測定(「ワクワク感」)、心拍数、血圧が候補で、表情および眼球運動については可能性を検討中。 2)見せる動画の要件も検討した。先行研究では既存の映画から切り出した短いものを使用している(3-5分程度)。本研究では共視聴時のコミュニケーションも問題のため、検討に際し、現実にどんな場面がコメント行動を生みやすいかを山本(2011, 2010)等やTV視聴時のツイート等を参考としてコメント行動とその際の主な感情を踏まえて選ぶ予定。 3)海外では本テーマに関し、感情伝染他、共視聴(co-viewing)研究が一定数あった。だが主に視聴の悪影響に注目した親子の共視聴を扱っているため、そうではない研究(Kim, Merril Jr., & Collins, 2020;Tal-Or, 2016等)を今後検討予定。 なお前身の関連研究を日本心理学会大会で発表し、また電子情報通信学会和文誌に投稿、採録された(竹澤・広田, 2023)。
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