研究課題/領域番号 |
22K12241
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
城田 松之 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00549462)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | タンパク質構造 / ゲノムバリアント / 制御領域 / 遺伝子発現 / スプライシング |
研究実績の概要 |
2023年度にはゲノムバリアントの解釈をさらに高精度化するためにヒトプロテオーム全体についてAlphaFold DBの予測構造をもとに低分子リガンドおよびタンパク質複合体の情報を補ったデータベースの情報を利用できるように手法を改良した。低分子リガンドはAlphaFillデータベースより、PDBのホモログ構造から移植されたリガンド情報を利用した。タンパク質複合体はFoldDockデータベースにおいて、Yeast-2-hybrid法やアフィニティー精製マススペクトロメトリにより決定されたタンパク質間相互作用を網羅的に予測したものを用いた。それぞれのデータについて、AlphaFillはホモログとの配列一致度および局所のRMSD、FoldDockは予測される複合体精度や残基精度で精度の管理を行った。これらの複合体モデルはリガンド結合部位やタンパク質相互作用部位に存在する疾患バリアンとなどを抽出する上で有用であることを確認し、これにより、ミスセンスバリアントの構造特徴についての情報量を増加させることができた。これらの予測構造をもとにした構造特徴は全ゲノムのバリアントに対して計算済みであり、バリアントへのアノテーションとして一般的なVEPなどのツールで利用可能である。なお、AlphaFillにはDNA・RNAとの結合構造が存在しないため、DNA・RNA結合部位の評価においてはPDB構造やPDB構造との相同性を考慮した相互作用予測手法と合わせて評価を行っている。これらの手法は日本人のゲノムバリアントの立体構造を用いた評価において活用し、遺伝型・表現型の関連についての分子機構の改名のための情報として利用可能なように提供している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に目的としていたDNA・RNAとタンパク質の結合構造の立体構造を用いた評価手法の改善を行うことができたため。また、アノテーション手法をVEP、ANNOVARなどのフォーマットとして、一般的なアノテーションとして利用できる形式にする点も進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで蓄積した情報を全ゲノムシークエンスからの疾患バリアントの推定や、ゲノムワイド関連解析(GWAS)や発現量量的形質座位(eQTL)の生物学的解釈に活用するために、制御領域のゲノムバリアントについて、実験構造及び予測構造をもとに、DNA・RNA結合タンパク質から結合される残基とその結合相手・結合形式などをゲノム全体にアノテーションできる手法を構築する。これらは既存のアノテーションツールであるANNOVARやVEPなどで用いられるようにすることを目指している。このために、AlphaFoldDBの予測タンパク質構造についてもDNA・RNA結合構造の推定を行い、制御領域のバリアント解釈に利用できるデータを作成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は解析補助のための人員を今年度の範囲では利用することなく研究を進めることができたため次年度利用分が生じた。 次年度はサーバ利用料、また人件費として利用予定である。
|