研究課題/領域番号 |
22K12252
|
研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
SAPKOTA ACHYUT 木更津工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (70724706)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 血液凝固 / 血栓 / 出血 / 心血管疾患 / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
心血管疾患の患者にとって、血液の状態を維持すること(凝固や出血を防ぐなど)は重要な課題だ。現行の方法では、単に血液を強制的に凝固させてその時間を測定するだけで、血液そのものの生化学的特性や人体との包括的な関連性は考慮されていない。この結果、副作用の予防や効果的な薬物開発には限界が存在する。本研究では、血液凝固過程に関わる遺伝子、タンパク質、そして代謝物質に関する情報を用い、これらの分子の包括的な関連性を示す多層的なネットワークを表現することを目指す。 2022年度には、公開データベースと文献調査を活用して、関連する遺伝子とタンパク質のデータセットを収集した。これらのデータセットは、a)正常な状態、b)心血管疾患に関連する状態、およびc)心血管疾患以外の血液凝固や出血に関連する状態のものである。心血管疾患に関連する状態として、「冠動脈疾患」と「深部静脈血栓症」に関するデータを収集し、解析を行った。「心血管疾患以外でも血液凝固や出血に関連する状態」として、人工透析などの副作用で心血管疾患を引き起こす可能性のある糖尿病のデータを収集し、解析を行った。同様に、脳静脈血栓症の患者がてんかん発作を頻繁に起こすという先行研究があり、それに基づいててんかんのデータも解析に取り入れた。タンパク質の相互作用解析には、細部(アミノ酸配列)の整合性を用いて関連性を示す方法を提案し、検証を行った。この方法はタンパク質の相互作用だけでなく、遺伝子ネットワークの構築にも寄与した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子とタンパク質のネットワークを作成する過程で、当初計画していた計算方法には一部制約があることが判明した。つまり、計算手法がデータの複雑さや多様性を完全に捉えることができなかった。そのため、新しい計算手法を開発し、その手法自体の検証が必要になった。これにより、ネットワークの完成は予定よりも多少遅れ、現在のところ、作成されたネットワークはまだ様々な疾患と症状を包括するものになってない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、 a)遺伝子とタンパク質に関するネットワークの完成度を向上させ、検証を進める。 b)並行して、代謝物質のデータ収集と解析を行い、代謝物質ネットワークを構築する。 c)これら3つのネットワークを結びつける数値モデルを作成し、多層的なネットワークの構築と検証を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計算機の購入は、当初予想していたよりも少し高かった。一方、人件費を計上していたが、卒業研究の一環として学生からの協力を得たため、その一部を計算機の購入に充てた。さらに、課題の達成は予定よりも少し遅れ、次年度に完成させたものを学会発表に活用することになった。
|