研究課題/領域番号 |
22K12270
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
東 裕介 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専門技術員 (80585034)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顕微鏡画像処理 / 深層学習 / バイオイメージ・インフォマティクス |
研究実績の概要 |
本研究では、生物学研究における深層学習の利用促進のため、顕微鏡画像処理の自動化を目指す。そのため、深層学習モデルを自動最適化する方法と学習データ自動構築方法を開発する。昨年度までの研究において、深層学習モデル(セグメンテーション、機能拡張、分類)のうちセグメンテーションと機能拡張について、自動最適化方法を構築した。分類については同様の仕組みにより自動最適化できるため、今年度は学習データ自動構築方法の開発と、深層学習モデルの実応用に注力した。まず、学習データ自動構築方法の開発のため、基盤となる顕微鏡画像データの管理・共有のためのシステムの構築を始めた。ここでは、顕微鏡画像データにメタデータやアノテーションを付与して管理するとともに、利用者が必要なデータを容易に取得する機能を提供する。このシステムは組織全体で利用することを前提に開発を進め、来年度中のサービス開始を目指している。今年度は、顕微鏡で撮影した画像データをサーバーに自動転送するためのシステム構築に取り組んだ。顕微鏡の制御PCは一般にLANに接続されていないため、サーバーへのデータ転送用PCを用意し、USB接続することとした。今後、サーバー上の画像データを管理・共有する機能を追加し、早期にサービスを開始したい。また、深層学習モデルの実応用として、分野外のデータを選択し、本方法の高い一般性を示すことを計画した。そのための応用先として、X線CTで撮影した材料画像を選定した。撮影機器も撮影対象も全く異なるが、見た目としては非常に近い画像であるため、本方法が有効ではないかと期待した。既に期待通りの結果が得られつつあるが、今後定量的な評価を進め、確固たる結果を得たい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目標達成のために必要な開発2項目のうち、1項目について、既に開発に成功し成果を誌上発表している。残りの1項目についても順調に開発が進んでいる。加えて、開発した方法の実応用も進んでおり、計画以上の成果が得られるのではないかと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、深層学習モデルを自動最適化する方法の開発に成功しており、今後は学習データ自動構築方法の開発と、深層学習モデルの実応用に注力する。学習データ自動構築方法については、当初個人レベルでの構築を目指していたが、所属および業務内容の変化に伴い、組織レベルでの構築が可能となった。そのため、より広い視野に立ち、多くの研究者が使いやすい方法を開発することを目指している。実応用に関しても、同様の理由で生物学分野外の研究者との共同研究が進んでおり、より汎用的な成果としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の一部変更と、所属組織における機器調達を考慮して、最適な使途を改めて検討した結果、来年度に使用したほうが合理的との結論に至ったため。当初予定していた翌年度分の助成金と合わせて、所属組織で導入する機器の利用も考慮した用途に使用する。
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