研究課題/領域番号 |
22K12271
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
張 建偉 岩手大学, 理工学部, 准教授 (20635924)
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研究分担者 |
中島 伸介 京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (90399535) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フェイクニュース / 皮肉検出 / 言語モデル / 早期検出 / 説明可能性 |
研究実績の概要 |
本研究では,ソーシャルメディアに焦点を当て,フェイクニュースの早期検出,潜在的意図の識別及び深層学習モデルの解釈可能性向上を目的とする.具体的には,(1)情報の解析優先度判別によるフェイクニュースの早期検出,(2)内容及びソーシャルコンテキストの分析による潜在的意図の識別,(3)判別根拠の抽出及び可視化による解釈可能な深層学習モデルの構築に関する技術開発に取り組んでいる. (1)の課題について,ソーシャルコンテクストの量はニュースの拡散に伴い増加するため,ソーシャルコンテクストを用いた精度向上とフェイクニュースの早期検出はトレードオフの関係にある.本研究では,検出精度の向上と早期検出の両立を図るため,ソーシャルコンテクストを利用した,アンサンブル学習によるフェイクニュース早期検出手法を提案した.実験において,提案手法がフェイクニュースの早期検出に貢献することが確認された. (2)の課題について,表面上の文の意味とは反対の感情を表現する皮肉の検出に着目した.コモンセンスを利用した皮肉検出手法が提案されているが,既存研究の皮肉検出モデルでは特定の1種類のコモンセンスを利用している.本研究では,様々なコモンセンスの種類を用いて皮肉検出モデルの性能を比較し,適切なコモンセンスの種類の選別を試みた.実験結果より,適切なコモンセンスの種類の選択によって,既存手法よりも性能が向上することが示された. (3)の課題について,自然言語による説明を生成するfaithfulなフェイクニュース検出モデルを提案した.短文による主張に焦点を当て,入力から説明文を生成しそれを用いて分類問題を解く.ユーザにとって,生成される自然言語による説明は数値によるものより理解しやすい.実験では入力に対するモデルのsensitivityにより提案手法のfaithfulnessを検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三つの課題のすべてについて研究会での発表ができ,成果が出つつある.
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今後の研究の推進方策 |
(1)の課題については,手法と実験を整理して,国際会議への投稿を行いたい. (2)の課題については,手法と実験を拡張して,検出の効果を検証していきたい. (3)の課題については,生成された説明文の質,専門度や評価に関する面はまだ不十分のため,解決に取り組みたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議論文の投稿と出張は次年度にずらしたため,その経費を次年度に利用する.
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