研究課題/領域番号 |
22K12292
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
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研究分担者 |
吉冨 賢太郎 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (10305609)
喜多 敏博 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (20284739)
戸川 聡 四国大学, 経営情報学部, 教授 (20399166)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 適応的学習 / EdTech / ビッグデータ / IRT / CBT / 高等教育 / Q-matrix |
研究実績の概要 |
本研究は、適応的学習システムの構築を目指すものである。高等教育の初年次教育では、基礎的な知識伝達を目的とする科目等が存在する。そこでは、知識伝達の方法として、演習問題を繰り返し解く反復練習が主におこなわれている。反復練習を成り立たせるためには、領域知識をカバーする大量の演習問題が必要である。その上で、学習者は用意された大量の問題を、解くことを繰り返す。しかし、大量の問題を網羅的に解くのは効率的と言えず、学習者の意欲を削ぐことになる。そこで、最近のAIの研究を応用することで、学習者の理解状態を診断し、演習の過程の制御が可能と考えた。単純に繰り返すのではなく、未習得の知識を練習することが必要である。演習問題を解く(練習する)とは、対象の問題を解くだけではなく、関連する問題を解く、関連する知識を参照するとった行動が付随して発生する。問題を解くといった行動はいろいろな行動の集まりであり、問題を解くために、どういった行動をとればよいか、次にとるべき行動を例示することができれば、学習を適切に誘導できるものと考える。そこで、我々は、適当的学習において学習の誘導の実現を目指している。 本研究では、誘導を実現するために、まず、対象知識の構造化を目指す。知識の構造化は、問題の難易度と、問題間の関係の記述によっておこなう。IRTを用いることで、難易度による分類をおこなう。さらに、Q-Matrixによって、問題を相互に関連するものとして分類する。さらに、演習の過程を、誘導することを目指す。令和4年度は、試作している問題プールを用いて、解答履歴の収集をおこなった。この解答履歴に対し、IRTやQ-Matrixの可能性を検討した。さらに、演習過程の誘導について、強化学習等の利用を想定し、モデルの作成をおこなった。次年度以降、解答履歴の収集をおこない、システム設計や開発を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年も、令和3年に引き続きCOVID-19感染拡大により、国内の高等教育機関の授業の実施は混乱に見舞われている。本研究は授業との連携を想定している。そのため、演習問題の作成や、試用システムを用いた実験を予定していたが、研究計画の実行に支障が出ている。また、研究の打合せについても、オンライン等で対応を進めているものが、対面の打合せに勝るものではなく、十分な議論が確保できない状況が続いている。令和4年度は、感染拡大の状況下にあっても研究を進めており、幾つかの成果はあったと考える。次年度に向けて、研究計画を再検討し、計画の伸長に努めるものである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、これまでの研究成果を踏まえ、研究計画を検討した上で、研究を進める。試作した環境を通して、解答履歴の収集を継続しておこなう。これまで集めた解答履歴、および、新たに集めた解答履歴の検討、分析をおこなう。その上で、難易度の推定や、Q-Matrixの精度について検討をおこなう。また、強化学習を用いた誘導方法について、モデルの構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、海外出張はもとより、国内での出張も不可能となり、調査ができない状態にあったため次年度使用額が生じた。2023年度は、状況と鑑みながら、調査を再開する予定である。
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