研究課題/領域番号 |
22K12310
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
内田 雅文 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00245341)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運筆 / ピック・アンド・プレイス / ゆらぎ / スケーリング解析 |
研究実績の概要 |
ピック・アンド・プレース動作は「ワークを把持し、移動させて所定の位置で離す」極めて日常的一般的な随意運動であり、反復的な"豆つかみ"などはリハビリテーション・高齢者施設等で諸機能評価の手段として利用される課題である。ピック・アンド・プレース動作の良し悪しの判断は一般に、動作回数や実行時間などをベースに定量評価されるが、この評価指標は被験者の意図が混入し易い性質のものである。本研究ではヒトの随意運動としてピック・アンド・プレース動作、および運筆動作を取り上げ、これら動作の反復により定められ、抽出される種々の「間[ma]」に着目した。具体的には反復動作を構成する種々の要素イベント(例えば、運筆の開始やワークの把持など)の発現時刻や外部刺激立上り時刻、それらを組み合わせて定められる種々の時の「間[ma]」に注目し、間[ma]の時系列が備えるゆらぎの性質を調査した。動作の反復によって、前者では16種類の時間要素それぞれの時系列、後者では6種類の時間要素それぞれの時系列が抽出され、前処理による次元縮約を経てスケーリング解析を施し、当該身体動作の属性(前者ならば運筆課題文字、後者ならばワークする球体の径)に対する慣れの程度と、時系列から推定されるゆらぎの性質(すなわちスケーリング指標)との関連性が習熟度の観点で調査検討された。以上の検討手法を種々の身体動作に適用することにより、様々な間[ma]の収集が可能になる。そこで立位時の上肢運動における触刺激提示と身体動揺に関する先行研究を踏まえ、立位時の反復的上肢運動における足背部触刺激提示と身体動作との関連性が調査された。これらの研究成果は国際学術論文1編、国際会議発表1件、国内研究発表1件により公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の最初のフェーズの主たる目標は、間[ma]に係わる種々の時間の捕捉であった。本件の先行研究も踏まえ、間[ma]の持続時間やその間[ma]の前後に定められる別の間[ma]との生起時間間隔など、種々の時間の導出手法は定まっており、第2フェーズへの準備は整った。第2フェーズの目標は、間[ma]を分類して種々の間[ma]を差別化することである。間[ma]をゆらぎの性質に基づき定量評価し、これに一般的なカテゴリ分類手法を適用することで達成可能になるものと考えている。また、間[ma]を学習者に伝える手段についても触刺激素子に基づく既存技術の整備も着実に進めている。以上より、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
第2フェーズの目標は間[ma]を分類して種々の間[ma]を差別化することである。抽出される個々の間[ma]をゆらぎの性質に基づいて定量(スケーリング指数)評価し、これに一般的なカテゴリ分類手法を適用することで、このフェーズの目標を達成させる計画である。また、間[ma]を学習者に伝える手段については、触刺激素子に基づく既存の触覚ディスプレイ技術の応用になるが、間[ma]を学習者へ効果的に伝える触刺激の生成が重要な課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存設備をベースに画像計測システムの機能拡張により解析機能の強化を図ったものの、3次元計測のための追加カメラの導入は叶わなかった。これに伴い、既存設備の(2次元計測)仕様はそのままに、次フェーズにおいて求められるデータを確保するため、ウェアラブルタイプのセンサ(加速度センサ等)による計測系の強化を図る計画である。
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