研究課題
2023年度はプログラミングにおける構図(ソースコード)と振舞い(実行時の変数の遷移や出力など)の対応付けのためのシステムを開発し,研究室規模での実験を行った.また,その結果について国際会議にて発表を行った.本実験では大きく2つの事項を明らかにした.まず,上記システムのプロトタイプとなるシステムは以前より作成していたが,演習の生成は教授者が手動で入力していた.一方本システムは,ソースコードを読みこみ,ソースコードと振舞いの対応関係のための演習を自動生成するシステムである.実験の結果,以下の2点が明らかになった.(1)自動生成システムであっても,教授者が手動で作成した質の高い演習問題に対してそん色ないこと.(2)また,教科書に掲載されているサンプルとなるソースコードのうち,大部分が自動生成の対象となりえること.以上により,教授者が問題を指定したのち,演習問題を自動生成し,学習者の構造と振舞いの対応付けの理解のための演習を実践できることが明らかになった.さらに,別のシステムとして,ロボットプログラミングを用いた振舞いの可視化についてを検討し,システムを開発している.特に,本システムでは知識の共有に焦点を当て,他の学習者の作成したソースコードを閲覧し,学べる環境を提案している.その中で,「レベルに差がありすぎる学習者のソースコードより,近い学習者の方が参考になる」という仮説を立て,知識の共有を制限するシステムを開発し,実験室環境で実施した.結果として,知識の共有を制御しないグループにおいても一定の学習効果が得られたが,一部,学力の向上が行えない被験者が発生し,このような被験者における知識の共有の可能性が検討された.
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では,2023年度に課題系列を作成するつもりであったが,これは2022年度に行えた.そのため,この点では順調に遂行できている言える.しかし,2023年度に大学を異動したため,当初予定していた大学での実践についての状況に変化があったため,この変化に対応して,実践環境を整える必要がある.また,中学校での実践については,(力学の範囲ではあるが)誤りの可視化についての実践を協力していただき,今後,プログラミングにおける実践についても検討することとなる.
上述したことと重なるが,今後は中学・大学における授業実践についての計画の立案を行う必要がある.またさらに,システムのインタフェイスを実践に耐えうるようにブラッシュアップする必要があり,そのフェーズを検討することが必要となる.
概ね予定通りに支出しているが,予定していた英文校正費の見積もりよりやや安価になったため,この差額が生じた.次年度は,学会発表の件数を当初の予定より増やすことにより,使用を予定している.
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 2件)
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