研究課題/領域番号 |
22K12333
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
老川 稔 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (90725756)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ディスプレイ / 立体 / 三次元 / 点群 / 音波 |
研究実績の概要 |
本研究では,点群データ形式で表現される三次元モデルを表示するためのボリュームディスプレイ装置の表示部と制御ソフトウェアの開発を通して,その実現性と課題を明らかにすることを目的としている。ボリュームディスプレイの特徴として,現在主流となっている平面ディスプレイと比較し,奥行き方向情報をより直接的に可視化できることが挙げられる。三次元表示の方法として,微小軽量な粒子を音波浮揚技術を用いて表示空間内を走査させる方式を用いる。 初年度(2022年度)は,主にボリュームディスプレイの表示装置部の開発と試作を行った。121個(縦11列×横11列の正方形状)の超音波振動子アレイから構成される超音波発生装置の回路および基板設計を行い全8台を製作し,2台を対向させて使うため2枚に電子部品等を実装した。振動子アレイの個々の位相を設定し,微小軽量な粒子位置を一次元的に操作することに成功したことから,表示装置部の基本的な開発方針が概ね正しいことを確認できた。制御ソフトウェアとして,表示装置部と接続して機能検証を行うために一般的なPCのUSBシリアルインタフェースを利用した。表示装置部にはSPIインタフェースを設けて,インタフェース変換機を通してPCから直接的に表示部の音波位相を設定する簡易的なものを開発した(本来は点群データ形式モデルを直接扱えるような機能が必要であるため,今後の研究機関で順次ソフトウェア側の機能を追加していく予定)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(2022年度)に購入予定だった半導体製品の一部が,おそらくはコロナ禍による販売流通網の混乱の影響のためか一時的に入手が困難になった(多くの販売店で在庫がなくなり入荷時期未定の状態)。年度末頃までには回復してきたものの,初年度にハードウェア部を多く含む表示装置製作への影響が生じたため。研究計画全体への影響は許容範囲内と考えている。以上を考慮して「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
ボリュームディスプレイ表示部の試作が概ね完了したため,制御ソフトウェア機能の充実と,点群データモデルとのインタフェースに着手する。実際に音波浮揚を行って気づいた点として,浮揚中の粒子位置を安定して固定あるいは移動させることが予想以上に難しく(想定外に落下したり音波で装置外に弾かれてしまったり,等)今後の課題となりそうな感想を持った。必要に応じて,超音波浮揚のシミュレータ,または音場計測が必要となる可能性も検討している。
|