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2022 年度 実施状況報告書

新規開発オゾンデニューダーによる大気中有機化合物の実濃度把握

研究課題

研究課題/領域番号 22K12354
研究機関大阪市立環境科学研究センター

研究代表者

浅川 大地  大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究主任 (80470251)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードオゾン / 大気有機物 / 化学物質 / 大気化学 / 微小粒子状物質 / 網羅分析
研究実績の概要

大気中有機物をフィルター捕集する際のオゾン酸化を抑制可能なオゾンデニューダーを制作した。先ず、アルキル化ジメチルピリジンヨウ化物を合成し、核磁気共鳴スペクトル測定にてその化学構造を確認した。次に、合成した化合物をセラミクスハニカムに固定化してオゾンデニューダーを制作した。そのオゾンデニューダーを微小粒子状物質(PM2.5)サンプラーに装着してオゾン除去効果を測定したところ、オゾン濃度が高い夏季においても、97%以上のオゾン除去効率を2週間以上維持することができた。また、採取した試料の炭素濃度を熱分離法で測定した結果、オゾンデニューダー由来の有機物汚染や大気粒子の損失がほぼないことが明らかになり、制作したオゾンデニューダーの有用性が示された。
このオゾンデニューダーを使用してPM2.5を採取し、それに含まれる各種有機化合物を測定した。その結果、従来の捕集方法でPM2.5を採取した場合、発生源指標化合物と考えられているジカルボン酸類やピノン酸はオゾン酸化によって過大評価され、ニトロカテコール類やベンゾ[a]ピレンは過小評価されていることが分かった。また、飛行時間型質量分析計を用いた網羅分析を行うことで、PM2.5捕集中にフィルター上で硫酸エステル化合物や香料酸化物、ニコチン酸化物が生成されていることが確認された。さらに、開発したオゾンデニューダーをペルフルオロアルキル化合物(PFASs)サンプラーに適用したところ、試料捕集中のオゾン酸化によって前駆体化合物(テロマーアルコール類)からペルフルオロカルボン酸類(PFCAs)が生成していることが示された。PFCAsは全球規模の汚染や生態系への影響が懸念されている化合物であり、本研究によって詳細な環境動態把握が可能になると期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定通りにオゾンデニューダーを開発し、その効果を確認している。なお、開発したオゾンデニューダーの特許出願作業を優先的に進めており、異なるタイプのオゾンデニューダーの開発は次年度以降に実施することにした。それに代わって、オゾンデニューダーの実大気試料への適用を先行して実施しており、研究計画全体としての進捗状況は概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

異なるタイプのオゾンデニューダーの開発を効率的に推進するため、オゾン発生装置とオゾン測定装置を組み込んだオゾン除去評価システムを構築する。また、開発したオゾンデニューダーのスケールアップを行い、ハイボリュームエアサンプラーに装着可能にすることで、微量の大気中有機物の測定・評価を可能にする。さらに、すでに制作済みのオゾンデニューダーを研究協力機関に配布して、サンプリングネットワークを構築することも予定している。

次年度使用額が生じた理由

開発したオゾンデニューダーの特許出願作業を優先的に進めており、異なるタイプのオゾンデニューダーの開発は2年目以降に実施することにした。それに代わって、オゾンデニューダーの実大気試料への適用を先行して実施した。全体としての進捗に影響はないが、当初計画から実施順序を変更したために次年度使用額が生じた。次年度使用額は、当初計画で1年目に実施予定であった異なるタイプのオゾンデニューダーの開発を実施するために使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] オゾンデニューダーを用いた大気中有機化合物の実態把握2022

    • 著者名/発表者名
      浅川大地、東條俊樹、市原真紀子、谷保佐知、羽成修康、山下信義
    • 学会等名
      第29回環境化学討論会
  • [学会発表] 浅川大地、中村実沙子2022

    • 著者名/発表者名
      大気中の有機化合物捕集に適した新規オゾンデニューダーの開発
    • 学会等名
      第63回大気環境学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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