研究課題/領域番号 |
22K12360
|
研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
保原 達 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (70391159)
|
研究分担者 |
松本 真悟 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (00346371)
森泉 美穂子 龍谷大学, 農学部, 教授 (10220039)
澤本 卓治 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (60364246)
中路 達郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40391130)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 土壌有機物 / 埋没土壌 / 火山灰 / 炭素隔離 |
研究実績の概要 |
本研究では火山灰埋没土などを対象に、炭素の土壌への長期貯留・隔離を明らかにすることを目的としている。昨年度は対象としている苫小牧の火山灰地において実際に現地の土壌を5mほど掘削して埋没腐植土壌の調査を行った。具体的には、火山灰層の層序に関する基礎情報や、土性などの土壌に関する現地での基礎情報を得たほか、各種土壌環境の測定、化学分析を行った。本年度は、調査地としている北大苫小牧研究林に広く埋没している火山灰であるTa-c(樽前c)およびTa-d(樽前d)について、その分布に基づいて、一度の火山噴火(火山灰降灰・堆積)によって埋没貯留される炭素量の評価を行った。そこで、まずTa-cおよびTa-dの炭素蓄積量を広域化するもとのデータとして、調査地とする研究林のそれらの量を見積もるため、林内の3ヶ所にそれぞれ5mほどの穴を掘削した。そしてそれぞれにおいて土壌の基礎調査を行うとともにサンプルを採取し、実験室に持ち帰ってそれらを分析し、それぞれの地点で各火山灰によって埋没した炭素量を求めた。それらの結果から、苫小牧研究林全体における土壌における炭素蓄積量を推定した。さらに、これらの値を元に、Ta-cおよびTa-dによって埋没した炭素量の推定を行った。具体的には、まずTa-cおよびTa-dの層厚分布のデータベースを元に、GISによってそれぞれの火山灰の堆積分布を求め、それに本研究で求められた炭素のデータを乗せてTa-cおよびTa-dが分布した全域での(森林地帯のみ、都市部や海洋を除く)炭素貯留量を求めた。これにより、一度の火山灰堆積によって貯留しうる炭素量を評価した。本研究内容は、年度末に日本森林学会大会において口頭発表したほか、次年度の論文投稿を目指して目下論文作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進んでいる。予定通り、2年目で調査地域を拡大して研究を行い、それらに関する分析結果が出て、一定の成果を出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、2023年度までの研究成果に関する論文を作成するほか、土壌に埋没した炭素量のさらなる一般性の解明、様々な火山灰への応用に取り組む。さらに、土壌の培養によって様々な炭素源が安定的な土壌有機物になるメカニズムの把握を行う。特に安定的な土壌有機物は、その有機物源に比べて窒素濃度が高いが、こうした窒素がどのように取り込まれ、どのように保存されるかについては不明な点が多い。そのため、こうした過程を解明するための様々なアプローチを行ってゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度行うことを想定していた実験がいくつか次年度にずれ込んだほか、論文の執筆や投稿に関わる経費なども次年度にずれ込んだため、次年度使用額が生じた。これらは次年度に計画をずらして使用する予定である。
|