研究課題/領域番号 |
22K12379
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
桑原 義和 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
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研究分担者 |
佐藤 友昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10284887)
富田 和男 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (60347094)
栗政 明弘 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (80343276)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線抵抗性 / 核型解析 / RNA-seq解析 |
研究実績の概要 |
放射線で誘発される放射線抵抗性がん細胞を解析する場合、親株とその親株から樹立した放射線抵抗性細胞とを比較・解析するのが従来型の研究モデルである。これまでの解析から、放射線誘発放射線抵抗性細胞であるHepG2-8960-R細胞は、親株であるHepG2細胞とゲノム背景が同一であるにもかかわらず、放射線抵抗性細胞を樹立する過程で染色体の再構成が生じ、HepG2とは全く異なる核型になっていることを見出した。このことから、従来型の比較解析モデルが妥当なのかという疑問を持った。さらに、放射線で誘発される放射線抵抗性の形質は可逆的であることも見出した。本研究では、従来型の「親株」と「親株から樹立した放射線抵抗性細胞(-R)」とを比較するのではなく、「放射線抵抗性細胞」と放射線抵抗性を失った元放射線抵抗性細胞(-R-NoIR)、つまり「放射線『感受性』細胞」とを比較する。2022年度に行った核型解析からSAS及びSAS-R細胞は2倍体であるにもかかわらず、SAS-R-NoIR細胞は4倍体であることが明らかになったため、これ以上の解析には不適切と判断した。そこで、2023年度に、SAS-R細胞から新たにSAS-R-NoIR細胞の樹立に取り組み成功した。樹立したSAS-R-NoIR細胞の放射線抵抗性の形質は単回照射及び分割照射で失われていることを確認した。さらに、核型解析から2倍体であることも確認した。現在、HeLa、HeLa-R及びHeLa-R-NoIR細胞とSAS、SAS-R及びSAS-R-NoIR細胞のRNA-seq解析を依頼しており、解析結果待ちである。良好な解析結果が得られた場合、HepG2、HepG2-8960-R及びHepG2-8960-R-NoIR細胞のRNA-seq解析を引き続き行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SAS-R-NoIR細胞が4倍体であったため、今後の解析には不適切であると判断した。SAS-R-NoIR細胞の樹立を新たに開始したため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
HeLa、HeLa-R及びHeLa-R-NoIR細胞とSAS、SAS-R及びSAS-R-NoIR細胞のRNA-seq解析を依頼しており、解析結果待ちである。良好な解析結果が得られた場合、HepG2、HepG2-8960-R及びHepG2-8960-R-NoIR細胞のRNA-seq解析を引き続き行う予定である。由来組織の異なる3種類の放射線抵抗性細胞に共通して発現が変動している遺伝子が特定できた場合、その遺伝子発現を操作することより、がん細胞の放射線抵抗性を克服することができるのかを解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
SAS-R-NoIR細胞を新たに樹立したため、次のステップのRNA-seq解析が2023年度中に全て終了しなかったため。
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