研究課題/領域番号 |
22K12390
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本田 匡人 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (80785791)
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研究分担者 |
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60242476)
松原 創 金沢大学, 生命理工学系, 教授 (50459715)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ぺルフルオロオクタンスルホン酸 / 脂質代謝 / トラフグ |
研究実績の概要 |
本申請研究では、世界的に使用が規制され汚染が懸念される有機フッ素脂肪酸ぺルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の生物影響に着目した。先行研究で同定されたトラフグ血中での結合タンパク質であるApolipoprotein A-1(Apo A-1)が血液中での脂質運搬タンパク質であることから、特にPFOSが魚類の脂質代謝に及ぼす影響に着目した。 2022年8月15日から9月12日にかけて、金沢大学理工学域能登海洋水産センターにおいてPFOS暴露による魚類での遺伝子発現変動解析と脂質の組成・量変動解析を行うため、トラフグ(Takifugu rubripes)を供試魚として半止水式水暴露試験を実施した。曝露区20尾対象区20尾として各区60L水槽に飼育・馴致し、曝露区には100 ug/LとなるようPFOS‐カリウム塩を、対象区には等濃度になるよう溶媒(DMSO)のみを添加し28日間飼育した。試験開始0、1、3、7、14、28日後に各区3尾を取り出し、体重および全長を測定後、皮膚、筋肉、肝臓、腎臓、鰓、腸、血液、胆のうをそれぞれ遺伝子解析用、脂質分析用、PFOS濃度分析用としてサンプリングを実施した。遺伝子解析用検体に関しては、サンプリング直後にRNAlaterに浸漬し固定を行っている。現在サンプリングした検体において、固相抽出による精製の後LC/MSMSを用いた機器分析で各組織におけるPFOS濃度を分析し、組織分配を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではPFOSが魚類の脂質代謝に及ぼす影響に着目した。2022年8月15日から9月12日にかけて、金沢大学理工学域能登海洋水産センターにおいてPFOS暴露による魚類での遺伝子発現変動解析と脂質の組成・量変動解析を行うため、トラフグを供試魚として半止水式水暴露試験を実施した。この曝露実験で得た検体を現在PFOS濃度の分析に供している。一方で脂質分析および発現遺伝子の網羅解析を外部委託で実施予定であったが、近年の物価上昇を受けた受託費用の高騰により想定していた予算での実施が難航している。そのため現在発注業者の再選定および分析項目および手法の変更を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している曝露試験で得られた各検体のPFOS濃度の分析を順次進めていく。またこれに並行して、予定していた遺伝子発現の変動解析および脂質組成・量変動解析を実施していく予定である。遺伝子発現解析に関しては、特にApo A-Iを中心とした脂質代謝に関連する遺伝子群を主たるターゲットとする。脂質分析では、血液および肝臓中において、遊離脂肪酸・リン脂質類・ステロールエステル類などを主たる対象とし解析を実施する予定である。
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