• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

オートファジーカーゴp62が制御するメチル水銀動態解析と抗メチル水銀薬への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K12392
研究機関北里大学

研究代表者

高根沢 康一  北里大学, 薬学部, 准教授 (90345257)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードメチル水銀 / p62 / オートファジー / トランスポーター / 微生物由来化合物ライブラリー
研究実績の概要

メチル水銀は水俣病の原因物質であるが、現在でも世界各地域で汚染が散在している。また、我々は生物濃縮により蓄積した魚の摂取を介して日常的にメチル水銀にさらされている。メチル水銀は胎児脳の高次機能障害だけでなく、近年では、パーキンソン病等の脳神経変性疾患や糖尿病の発症および進展と関連していることが報告されている。本研究の目的は、p62の欠損in vivo、in vitroモデル系により、p62が鍵分子となるメチル水銀結合タンパク質の分解系、およびその分解と共役してメチル水銀を細胞外に排出するトランスポーターを明らかにすることを目的としている。また、p62の発現を増加させる作用をもつ化合物を北里大学薬学部オリジナルの微生物由来化合物ライブラリーを利用して探索し、新奇メチル水銀解毒薬の創出を目指すものである。
本年度、p62KO細胞は野生型細胞と比較してメチル水銀毒性に対して感受性が高いだけでなく細胞内のメチル水銀濃度が上昇することを見出した。したがってp62はオートファジーを含めたタンパク質の分解系における機能だけでなく、細胞内メチル水銀排出の促進に繋がることが示唆された。また、研究実施計画どおりp62KOマウスの作製に成功し、個体レベルにおけるp62のメチル水銀排出の促進作用を検討することができた。週令を合わせた野生型マウスとp62KOマウスにメチル水銀を経口投与し、1日後における臓器水銀濃度を調べた結果、p62KOマウスの脳におけるメチル水銀濃度が野生型マウスより高いことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画どおり、p62KOマウスの作製に成功し、順調に繁殖している。また、このp62KOマウスを用いてメチル水銀単回投与後のメチル水銀臓器蓄積を検討できた。さらに、微生物由来化合物ライブラリーを用いて、p62の発現を増加させる作用をもつ化合物を探索を開始できており、おおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

研究実施計画どおりp62KOマウスの臓器の障害について解析を進める。具体的には2型糖尿病の発症に影響を与えるアディポネクチン、レプチン、TNF-alphaなどの生体内濃度が変化しているかを定量し、野生型マウスと比較する。パーキンソン病の原因となるalpha-シヌクレイン発現についても組織学的な評価を行う。また、すでに着手している微生物由来化合物ライブラリーを用いたスクリーニングについても継続して推進する。

次年度使用額が生じた理由

当年度の予算の範囲内で計画した実験が概ね遂行されたので、余剰を次年度に繰り越した。次年度は繰り越した予算と合わせて使用計画通り実験を遂行する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] オートファジーレセプターp62によるメチル水銀毒性の制御2022

    • 著者名/発表者名
      高根沢康一, 中村亮介, 大城有香, 浦口晋平, 清野正子
    • 学会等名
      メタルバイオサイエンス研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] メチル水銀毒性に対するオートファジーレセプターp62の細胞保護機構2022

    • 著者名/発表者名
      高根沢康一, 清野正子
    • 学会等名
      フォーラム2022衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi