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2022 年度 実施状況報告書

回収可能性を確保する放射性廃棄体パッケージ複合材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K12438
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

酒瀬川 英雄  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 人形峠環境技術センター, 研究主幹 (00566250)

研究分担者 中島 基樹  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所研究所 核融合炉材料研究開発部, 主任研究員 (00899437)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード放射性廃棄物 / 最終処分 / 回収可能性 / パッケージ材 / 複合材料
研究実績の概要

2015年、放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針が改訂され、廃棄物の回収可能性の確保が必要となった。ところが、現在の高レベル放射性廃棄物のオーバーパック材や低レベル放射性廃棄物のドラム缶は炭素鋼が選択されており、この材料選択は回収可能性を考慮したものではない。このため、埋設中の腐食によって構造健全性を損ない、廃棄体の回収可能性は失われる。
これに対して本研究は、炭素鋼と比較してより優れた耐食性をもつ銅合金、そして、より高い耐圧性をもつ超硬合金から構成される新しい複合材料を開発する。そして、これをパッケージ材料として利用することで回収可能性を確保することを目指す。
今年度は銅合金と超硬合金の材料選択を主な目的とした。
銅合金については耐食性のみを担うことを当初は考えていたものの、耐食性を損なわずに耐圧性も分担できる可能性を期待して、アルミナ系酸化物粒子で分散強化された酸化物分散強化型銅合金を候補とすることとした。
超硬合金については耐圧性を担うものであり、埋設中は一定の静荷重下で長時間変形し難い耐クリープ特性が重要となる。タングステンカーバイド―コバルト系超硬合金は極めて高い硬度と弾性率をもつため、この観点からは相応しい材料である。しかしながら、このような特性は靭性とはトレードオフの関係にあるため、超硬合金を構造材料して利用する場合は靭性の考慮が不可欠となる。そこで、SPring-8放射光による引張荷重下の応力分布を調査して超硬合金の変形と破壊メカニズムも調べた。
これより、銅合金としてはアルミナ系酸化物粒子で分散強化された銅合金、超硬合金としてはタングステンカーバイドをコバルト系合金を候補とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、銅合金と超硬合金の材料選択を主な目的として研究を進め、銅合金としてはアルミナ系酸化物粒子で分散強化された銅合金、超硬合金としてはタングステンカーバイドをコバルト系合金を候補として選択でき、当初計画どおりに目的を達成することができた。
しかしながら、耐食性を担う銅合金については、その腐食特性の評価試験まで実施できれば研究がさらに進展したが、酸化物分散強化型銅合金の情報整理に時間を要したことにより、腐食試験の条件設定までの実施となった。
耐圧性を担う超硬合金については、それを構造材料として利用する際に把握しておくことが重要となる変形と破壊メカニズムに関する情報をSPring-8における放射光実験により得ることができた。これは超硬合金に対して前例のない研究成果であり計画以上の進展になる。
これら研究実績から「おおむね順調に進展している。」と判断する。

今後の研究の推進方策

耐食性を担う銅合金の耐食性の評価、そして、耐圧性を担う超硬合金の耐圧性の評価を引き続いて進める。
超硬合金にについては変形と破壊メカニズムに関する情報を得ているものの、その全貌を解明するためには不十分であるため、破面観察や微細組織構造観察を実施する。
複合材料となるパッケージ材を製作するためには、銅合金と超硬合金の接合が不可欠であるため、上記で評価された銅合金の耐食性と超硬合金の耐圧性を損なわないような接合条件を調査する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は耐食性を担う銅合金の腐食試験の実施まで行う予定だったが、銅合金の材料選択に関して、耐食性のみを担うことを考えていたものの、耐食性を損なわずに耐圧性も分担できる可能性を期待して、材料調達に時間を要するアルミナ系酸化物粒子で分散強化された酸化物分散強化型銅合金を候補としたことにより、腐食試験の試験条件の設定までの実施となったため、次年度使用額が生じた。
次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、既に試験条件の設定が完了している腐食試験に係る費用として使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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