研究課題/領域番号 |
22K12440
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸岡 大佑 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (20753792)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己治癒材料 / 熱酸化 / 金属粒子 / セラミックス / アルミナ / 自動車材料 / ブレーキ材料 |
研究実績の概要 |
本研究は400℃以下で自己治癒を発現する複合材料の作製を目指しており、今年度は昨年度試作した試料の強度試験を実施した。 各試料粉末を混合し、圧力をかけて900-1000℃で緻密に焼結した試験片を矩形状に切断、研磨した。その後試験片にき裂を導入し、400℃で1,5,30分間大気中熱処理した。顕微鏡で観察したところ、昨年度通り、試験片表面のき裂の消滅は確認された。その後3点曲げ試験を実施した。 平滑材では一定の強度を有していたがき裂導入後の試験片は曲げ強度が低下した。その後熱処理した試験片では、400℃、5分で熱処理した試験片の曲げ強度はき裂導入後試験片よりも曲げ強度を示した。一方、1分で熱処理した試験片では5分で熱処理した試験片よりも低い曲げ強度を示した。したがって、一部の条件では400℃の熱処理により強度向上が認められた。 今年度は試験片の焼結方法の調整および強度試験の実施準備を並行して行ったため、上記の強度試験の実施点数がいずれも少なく、一部の条件で強度向上は示したものの、高い信頼性のある結果といえる段階ではないと判断している。要因として、混合試料粉末の粒子径が比較的大きいため、き裂の導入場所によって強度のばらつきが大きくなると予想されるということが挙げられる。そのため今後は混合試料の粒子径を制御し、より均質かつ緻密な試験片の作製を目指し、試験片の強度回復現象において、より信頼性の高い調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作製し、亀裂消滅が認められた試験片について、強度試験を行った。一部の熱処理条件では強度回復が認められた。そのため、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
一部の条件で強度回復が認められたものの、現段階では試験点数が少なく、曲げ強度値のばらつきも大きい。これは試験片作製段階の不均質性にあると考えており、混合試料粉末の粒子径が比較的大きいため、き裂の導入場所によって強度のばらつきが大きくなったと予想している。そのため今後は混合試料の粒子径を制御し、より均質かつ緻密な試験片の作製を目指し、試験片の強度回復現象において、より信頼性の高い調査を行う予定である。その後、熱処理温度をより低温、短時間化した条件においても強度回復挙動を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に試料作製にかかる消耗品を計上していたが、他財源等で用意することが可能であったため、荒加工を行うための切断・研摩に係る消耗品はかからなかった。一方、試験片作製にはJISに準拠した加工が必要であり、セラミックスの試験片は研究室の設備では精密な加工には非常に時間が必要であった。そのため2023年度は主に荒加工後試験片の精密加工を加工会社に委託するために使用した。 2024年度は所属変更に伴い一部試料作製および熱処理実験の設備および消耗品が不足しているため、その購入を予定している。加えて試験片加工についても、一部の試験片を加工会社に委託することを計画している。
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