研究課題/領域番号 |
22K12444
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
垣花 百合子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 学術研究員 (90592014)
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研究分担者 |
比嘉 充 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30241251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 1価選択性イオン交換膜 / 塩分濃度差エネルギー / 高出力・高効率 |
研究実績の概要 |
逆電気透析(RED)発電の実用化には塩分濃度差エネルギー(SGE)を高効率な電力へ変換するための①REDスタック抵抗の低減②スペーサー抵抗の低減③1価選択透過性イオン交換膜(IEM)が必要となる。本研究の目的は、①~③を兼ね備えたIEMスペーサー機能を有する新規プロファイルイオン交換膜(PF-IEM)を開発することである。 本年度は、スルホン化ポリエーテルスルホン(S-PES)を用いた平膜CEMを作製し、膜抵抗、イオン選択性の測定を行った。また、市販IEMを用いて凹凸構造を有するPF-IEMの作製、RED発電評価セルの作製及び特性評価を行った。プロファイル陽イオン交換膜(PF-CEM)及びプロファイル陰イオン交換膜(PF-AEM)は熱プレスにより作製した。PF膜セルは、高濃度側流路と低濃度側流路のガスケットにPF-CEMとPF-AEMをそれぞれ組込みこみ作製した。2つの電極(Ag/AgCl)間にPF膜セルを5対重ねて小型スタック(有効膜面積30cm2/、5対)とした。比較用として平膜でも同様な小型スタックを作製し、この2つのセルを発電評価装置に接続し、模擬海水 (0.5 M NaCl溶液)と模擬河川水(0.017 M NaCl溶液)を通液させ、電流-電圧(I-V)特性及び電流-出力(I-P)特性の測定を行った。この値からRED発電評価装置の内部抵抗及びRED発電最大出力密度をそれぞれ算出した。PF-IEMを用いた場合、平膜と比較すると内部抵抗は31%減少し、最大出力密度は45%高い値を得た。これはPF-IEMを使用することで従来使用の低濃度側流路スペーサーネットが不要になり内部抵抗が低減され、発電出力が向上したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販IEMを用いて作製したPF-IEMのRED発電特性評価から、凹凸構造に起因した内部抵抗の低減及び最大出力密度の向上という結果を得た。このことから、本研究の目的である①REDスタック抵抗の低減②スペーサー抵抗の低減の2項目を達成したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、平膜を用いたPF-IEMを作製し本年度得たPF膜セル作製における知見を基にRED発電特性評価を行う。並行して市販IEMを用いた1価イオン選択PF膜の作製とRED発電特性評価を実施していく予定である。
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