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2022 年度 実施状況報告書

中度好塩性細菌のアミノ酸代謝制御機構の解明とリサイクルバイオ技術への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K12446
研究機関長崎大学

研究代表者

仲山 英樹  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (30324982)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード適合溶質 / 浸透圧調節物質 / アミノ酸類 / 好塩性細菌 / ハロモナス / GABA / エクトイン / 塩ストレス
研究実績の概要

2022年度は、ハロモナスのグルタミン酸過剰生産変異株(GOP株)にグルタミン酸脱炭酸酵素を導入したGABA生産株(GOP-Gad株)のGABA生産効率の向上のため、ハロモナスのGABA異化経路の解析を行なった。
まず、ハロモナスゲノム情報を解析した結果、GABAをコハク酸にまで異化する2つの鍵酵素であるGABAアミノ基転移酵素(GABAT)をコードしたGabT遺伝子及びコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH)をコードしたGabD遺伝子からなるGabTDオペロンの存在が明らかとなった。そこで、GabT遺伝子単独、及びGabTDの両遺伝子を欠失したハロモナス欠損変異株として、ΔGabT株及びΔGabTD株を作製し、それぞれの塩ストレス耐性とGABA生産特性について解析した。
その結果、GABAを単一炭素・窒素源とした条件下で、GabTDの欠失によりハロモナスの生育が阻害されたのに対して、GabT単独の欠失では顕著な生育阻害は観察されなかった。よって、GabT以外にもGABAT活性を有する遺伝子の存在が示唆されたが、GABAを生産するハロモナスGOP-Gad株と比較して、GOP-GadΔGabT株でGABA蓄積量が増加していたことから、GabTがGABAの異化に機能することが示唆された。
さらに、塩ストレス感受性が高まったハロモナスのエクトイン非生産株において、アスパラギン酸系アミノ酸の代謝経路を改変することにより、エクトイン以外のアミノ酸類を浸透圧調節物質として生産することにより塩ストレス耐性が向上することが示唆された。
以上の結果により、ハロモナスはエクトイン以外のアミノ酸類を主要な浸透圧調節物質として生産する潜在的な能力が高いことが明らかとなった。今後は、本研究成果を活用することにより、飼料添加物等に有用なアミノ酸類の細胞工場となるハロモナスの開発研究への展開が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エクトイン比生産株を比較対象とすることにより、ハロモナスにおいて、グルタミン酸系あるいはアスパラギン酸系のアミノ酸類を主要な浸透圧調節物質として生産できることを明らかにすることができた。
さらに、エクトイン以外のアミノ酸類の生産に抑制的に働いている因子を特定することにより、ハロモナス細胞内でのアミノ酸代謝制御機構の一端を解明できるが期待される。

今後の研究の推進方策

本研究により、ハロモナスのエクトイン非生産株において、GABA以外のグルタミン酸系アミノ酸類、あるいはエクトイン以外のアスパラギン酸系アミノ酸類を主要な浸透圧調節物質として生産できることが示唆された。
今後は、本研究成果を活用することにより、飼料添加物等に有用なアミノ酸類の細胞工場となるハロモナスの開発研究への展開が期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Improved GABA production from waste biomass by engineered Halomonas elongata GOP-Gad2022

    • 著者名/発表者名
      Ziyan Zou, Hideki Nakayama
    • 学会等名
      第74回日本生物工学会大会
  • [学会発表] Deletion of the GabT-like gene improves production of γ-aminobutyric acid in engineered Halomonas elongata GOP-Gad strain2022

    • 著者名/発表者名
      Ziyan Zou, Hideki Nakayama
    • 学会等名
      第59回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] 好塩性細菌ハロモナスにおけるアスパラギン酸系アミノ酸代謝経路の改変によるアラニンの生産2022

    • 著者名/発表者名
      JOO Yunheui, 仲山英樹
    • 学会等名
      第59回化学関連支部合同九州大会
  • [図書] 地域のレジリエンスを高める環境科学2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 貴史, 黒田 暁, 馬越 孝道, 利部 慎, 河本 和明, 菊池 英弘, 中山 智喜, 仲山 英樹, 吉田 護
    • 総ページ数
      190
    • 出版者
      九州大学出版会
    • ISBN
      978-4-7985-0352-3
  • [備考] 長崎大学総合生産科学域(環境科学系)環境生物工学研究室(仲山研)のホームページ

    • URL

      https://nakayamalab.com

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公開日: 2023-12-25  

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